「王女たちのラリー」は 明るく、お茶目で、過酷で、華やか。

Photography: Tomonari SAKURAI, Shiro HORIE



「城への道」へと名付けられた第2ステージ。やはりスタートは8時半である。
 
このイベントの素晴らしいところは、毎日の様子を動画とスチールで取材してすぐに編集。ホームページやフェイスブックに即時アップしているのだ。昨日の様子をフェイスブックで見ていると参加車両のビッグ・ヒーレーのトランクから火が出て消火器で消している。大丈夫だろうかと心配しながら朝食会場に向かうと、燃えた車と同じようなヒーレーが綺麗な姿で止まっている。ディレクターであり主催者ヴィヴィアンの息子であるトムに尋ねる、「あぁ、どうやらスペアカーを用意していたみたい。もちろんペナルティにはなるけどね」と、あっさり。すごい猛者がいるものだ。
 
ボーヴァルを出発して起伏に富んだ牧歌的な風景の中をひた走る。とはいえルートが細かくて間違いやすく、コ・ドライバーの集中力が試される。昼食はオーデスのシャトードゥラ・クレテで。 13世紀の要塞が見渡せる歴史的建造は雰囲気良し。午後はクレテ城からモンリュソンを迂回して、小さな農村ヌイ・フエグリーズを目指す。ゴールはスパの町アリエ。競技二日目だが疲れた様子の女性はほぼ皆無。ディナー中でもアップテンポなディスコサウンドで踊っているひとさえ見られた。



「アルプスの視界」と命名された第3ステージは過酷である。アルプス方向にまず向かいバーボン山脈を越える。ほぼ全日、天候に恵まれた。快晴の中、運転好きにはたまらないのがこのヴィシー東部のワイディングだった。走って、走って、走りまくる。ここが本当のアルプスなのだと心から感動できる瞬間。標高約1000メートルで身体は非常に快適であり、ロアンヌに向かう途中には風光明媚なロワール川を渡る。この日はサンラジェのシャトー・デ・ラヴァティーでランチ。 19世紀に建てられたボジョレーのブドウ畑が美しい。  

 
午後はローヌ川を越えて山岳地帯をくぐり抜けるコース。ヘアピンが連続するタイムアタックでは我々のような取材車両は、激走する参加車両にホーンで蹴散らされる。モンターニュ・ド・ラ・ライエを横断して平野を下り、ヴィリエ・ル・プティに至る。その先の標高1501メートルのグランドコロンビエへの登頂は絶景だ。お約束のローヌ渓谷の豪華な眺め。ブルジェ湖に沿ってサヴォイ、エクスレバンを抜けてゴール。二つのホテルに分かれカジノでディナーを楽しむ。


 
距離が長いのでスタートは午前8時から。エクスレバンを出ると全ルートを通じて、一度だけの高速道路を経験する。グランセール山塊のふもとからバルボネの方向に進み、やがて最大傾斜率14度という険しい道に出会う。排気量の小さいパワーのない車がどんどん脱落していく(どうやら伴走車が助けてくれるらしい)。圧巻はツールド・フランスでも使用される厳しい山岳路。 そこからレースはラリー・モンテカルロのルートを越えてオートアルプへ入る。
 
毎日のルートには、複数のコーヒーブレイクポイントが設けられている。ただし、どこにでも施設があるわけではないので、参加者は自然の中で用を足すことも。何となくだが、それはそれでフランスらしいと思ったりもする。
 
デュランスバレーを見下ろすマスデサンク・フォンテーヌでランチ。プロヴァンス風の建物からは、シタデルヴォーバンの息を飲むような景色を眺めることができる。ゴールはサントロペ。沖に浮かぶメガヨットが豪華だ。サントロペで最終日まで連泊をすることになるが、ホテルはルビブロス、ラメサルディエール、ホテルドパリ、ヴィラベルローズの4つに分かれる。どこも星の多い素敵な宿である。

文:堀江史朗(オクタン日本版編集部) 写真:櫻井朋成、堀江史朗 Words: Shiro HORIE (Octane Japan) Photography: Tomonari SAKURAI, Shiro HORIE

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