10年間放置されていたポルシェ911が復活するまで

Porsche AG

この物語の主人公は、ポルシェ911を所有するという夢を叶えた、グレアムという名の人物である。

ポルシェが911にTを追加したのは1967年のことであった。それまでのモデルよりもシンプルで扱いやすい1台を目指して生み出されたものだ。そして、これこそが911を所有したいという思いを世界中の人々に気付かせる存在にもなった。当時は2110ポンドで速さも家族の笑顔も手にすることができたのだ。1020kgのボディで123bhpのパワーを発揮し、楽しい車なのだ。

グレアムは他のエンスージアストと同じように、若い時からポルシェに心を奪われていた。そのきっかけは、毎朝近所で見かけていたブロンズの911であった。はじめて見た時から、いずれは手にしなければならないものだと感じだそうだ。911を手にすることを目標としながら働いて、寝て、また働いて、という生活をしていた。そしてある日、お気に入りの911が販売に出ているのを発見した。しかし、それはイギリス国内でなくオランダにあった。彼の同居人が一度は見にいくべきだと説得し、グレアムはお金を握りしめてオランダへと飛んだのだ。



そこで911を購入し、イギリスまで運転して持ち帰った。4年間にわたり、日々の相棒としてドライブをしたそうだ。ヨーロッパ中も周り、グレアムは母やガールフレンドも911に乗せて旅を続けた。グッドウッドも含め、たくさんのイベントを共にしてきた。

しかし、グレアムがドバイに引っ越さなければいけなくなり、911との毎日に終わりが告げられたのだ。最後の思い出にとアルプスを巡る大冒険を共にした後、友人や家族が頻繁にチェックしながらイギリスの駐車場で保管されていた。



見にくる人がいるとはいえども、放置されているも同然。1年だけ置いておくつもりが2年になり、5年になり、10年になった。タイヤからは空気が抜け、レイヤーも剥げてきている。これを聞きつけた911のスペシャリストがレストアをすると名乗り出て、キーが回された。案の定、何の反応もない。バッテリーも廃品置き場行きになるのは明確だった。新しいミシュランタイヤが備えられ、バッテリーも新品に換装され10年の月日を感じさせない1台へと生まれ変わった。すべて綺麗になった911は50年前の車とは思えないほど完璧になり、それを記念してグレアムは再びグッドウッドを訪れた。



そこでは991 カレラTとこの911Tが並べられ、50年の歴史を感じさせる展示が行われた。長い月日が経ったとはいえども、根底にある"楽しむための車"という哲学は変わらない。雨だろうが晴れだろうが、古くても新しくても911のスポーツカーとしての素晴らしさは不変だ。

オクタン日本版編集部

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