見た目から広い支持を得ることに失敗した1台とは?

RM Sotheby's

RM サザビーズのオーバーン・オークション(2018年5月)は手頃な車が豊富だった。少し古びたブリックリンSV-1もその1台だ。

最低落札額の設定がなく、推定額も1万~ 1万5000ドルだったから、名車になり損ねた"迷車"を手に入れる絶好の機会だった。同じく未来の車を目指したダイマクションやタッカーには及ばないものの、安全性の高いスポーツカーを造るというブリックリンのビジョンには将来性があった。ところが、特にその見た目から広い支持を得ることに失敗。わずか1年後、3000台を製造しただけで会社は管財人の管理下に入り、野心的なプロジェクトは打ち切られた。
 
マルコム・ブリックリンはスバルをアメリカに輸入する事業で財を築いた人物で、グラスファイバーを用いて軽量化し、その分、安全装備を充実させようと考えた。こうしてSV-1にはロールケージやサイドインパクトバーが内蔵され、カナダで組み立てられた。ボディカラーが派手な原色だったのも安全上の理由からだ。



ただし、搭載したV8エンジン(AMC製、のちにフォード製に)はスポーツカーにしてはパワー不足で、製造品質も悪化する一方だったため、たちまち行き詰まってしまったのである。
 
5mphの衝撃を吸収するバンパーや、健康志向からあえて灰皿を排除した点も先進的だった。だがSV-1最大の特徴といえば、ダッシュボードのボタンで開閉する(故障していなければだが…)ガルウィングドアだろう。この車を手に入れれば、ごく少数のオーナーの仲間入りができる。イギリスならヘインズ自動車博物館に1台あるが、さて、ほかにもあるのだろうか…。

編集翻訳:伊東和彦(Mobi-curators Labo.) Transcreation: Kazuhiko ITO (Mobi-curators Labo.) 原文翻訳:木下 恵 Translation: Megumi KINOSHITA

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