フランスの旧車クラブで最大を謳うクラブミーティングへ

Photography:Tomonari SAKURAI

フランスの旧車クラブで最大を謳うヴァンセンヌ旧車クラブ。パリを中心に西のブローニュ、東にヴァンセンヌという大きな森があり、そのヴァンセンヌの森にはヴァンセンヌ城がある。毎月第一日曜に、そこへ集まるクラブだ。

このクラブが主催して、毎年1月と8月にパリ横断(Traversée de Paris)を行う。これはヴァンセンヌ城をスタートしてパリを東から西へ文字通り横断するイベントだ。バスや、トラクター、バイクも加わりこのときは700台以上のヴィンテージカーがパリを走り抜けるのだ。

その撮影に参加したのが2,3年前。その時にお世話になったテリーさんが今では仕事を定年退職して本格的にクラブの運営に参加している。そんな彼に誘われて11月のミーティングにお邪魔した。


1948年製BSA M20。父親が新車で購入したモノだという。「今日は、さすがにバイクが少ないな」と遠慮気味に広場の外に駐車していた。

通常はヴァンセンヌの城の前に集う。そういえば僕がフランスに移る前の20年以上前、毎週金曜の夜はこの場所に申し合わせたわけでもなくバイクが集まってきた。城の前の広場をバイクが埋め尽くしていた頃が懐かしい。危険なことと、何よりも騒音でここに集まることを禁止されなくなってしまったのだ。もちろん、毎月一回のクラブミーティングはちゃんと主催がいて、許可を受けてのミーティングだ。

しかし、このお城の前は現在工事が始まって今回は更にパリから東のサン・モールという街の広場に集まることに。日曜に日付が変わったあたりから雨が降り始め朝は結構激しい雨となった。集合場所に向かう途中、青空が広がったと思うと激しい雨が降ったりと秋の空を象徴するような天候となった。


会場に集まり始めたクラブのメンバーたち。ゴルディニの到着だ。

会場に着くと予想した通り、少し寂しい集まりだ。前回の雨の時はそれでも50台は集まってきたと言っていたのに。それでもテリーさんは、奥さんのマリー=ピエールさんとイセッタで参加していた。せっかくなので、今回はこのイセッタを楽しむことにした。
 
テリーさん夫妻のイセッタは1960年のBMWのライセンス生産版。ご存じのようにイセッタのオリジナルはイタリアのISO社のもの。BMW製のモノのほうがエンジンのバリエーションもあり、生産台数も遙かに多いためオリジナルのイセッタの影が薄くなってしまっている。300ccシングルエンジンにはBINGのキャブが着き13馬力を発揮。カタログデータでは85km/hがでるということだが、テリーさんで70km/hマリー=ピエールさんは60km/hまでしか出していないという。リアはさすが無く固定式、後輪は2輪あるがディファレンシャルギアもなくトップスピードで走り続ける車ではないと。




床からにょきっと、触覚のように飛び出ているペダルたち。

ベルギーからやって来たこのイセッタ。リヤウィンドーに貼られた当時からのステッカーにはフランス語とフラマン語(オランダ語)の表記なのだ。ベルギーに引き取りに行ってこのイセッタはワゴン車に積んで帰ってきたという。

”パリ横断”ではもう一台のイセッタが参加するが、クラブにはこの一台だそうだ。そんな話をしている間に雨は上がって時折陽もさすようになった。それに併せて参加車両もどんどん増えて広場を埋めていった。その中には、1910年前後のルノーType AXなども混じっているのがこのクラブの面白いところなのだ。

写真&文:櫻井朋成 Photography&words: Tomonari SAKURAI

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