エアロバティック同乗飛行体験記|ワールドチャンピオンと、大空へ。

Photography: BREITLING JAPAN, Takeshi TAKAGI (SIGNO), Katsunori KISHIDA

そのチャンスは突然やってきた。「室屋選手の同乗フライトに興味はありますか?」とブライトリング・ジャパンから大変魅力的なお誘いをいただき、「あります!」と自分のスケジュールを確認することもなく即答した私。室屋選手とは、そう、日本のエアレース界の第一人者である室屋義秀選手その人だ。2009年からレッドブル・エアレースに参戦し、地元日本の千葉大会を3度制し、2017年のワールドチャンピオンにもなっている、あの室屋選手のフライトに同乗できるチャンスとあっては、何を躊躇うことがあろうか。万難を排してその日に臨むことにした。


ブライトリングは、アビエーションの世界観のアンバサダーとして、日本の航空界を代表するパイロットである室屋選手とパートナーシップを結び、彼の活動をサポートしている。ブライトリングの製品は「AIR」「LAND」「SEA」「プロフェッショナル」という4つの領域にわたる。なかでも核であり、その歴史において最も実績があるAIR、つまり航空分野のエアロバティックス/エアレースという領域で、日本で唯一、世界を舞台に戦う室屋選手はブライトリングにとっても絶好のパートナーだ。具体的には、日本国内での活動のスポンサードやブライトリング機(EXTRA 300LX)のサポート、レッドブル・エアレースの「Team FALKEN」テクニカルチームサプライヤーといった形でのサポートを行っている。

福島を拠点に活動し、地元に愛される


ブライトリング・ジャパンでは正規販売店でクロノグラフを購入した顧客を対象に、応募者の中から抽選で室屋選手が操縦するエアロバティック飛行を体験できる機会を定期的に設けている。この「クラブ・ブライトリング チャレンジ・フライト」は室屋選手の拠点、ふくしまスカイパークで開催された。もとは農産物空輸のために作られた農道空港だったが、使用頻度が極めて低かったためにその用途は廃された。現在では消防や警察のヘリコプターの訓練に使用されるほか、室屋選手のトレーニング拠点として、さらには室屋選手が特別講師を務める、航空をテーマにした体験プログラム「空ラボ」の会場にもなっている。


「空ラボ」とは次世代に向けた未来創造プログラム。航空をテーマにした全5回の体験プログラムを通して、子どもたちが実際に見て、触れて、五感をフルに使いながら、自分の中にある知的好奇心や興味を引き出し、目標達成に向けてのプロセスを考えていく。仲間の協力が不可欠なときもあれば、自分でコツコツ継続することが必要だったりもするだろう。自ら見出した目標を達成するためには、自分を知ることが大切だし、自分を知れば知るほど理想の未来像に向かって具体的な行動に移すことができる。たとえば、漠然とパイロットに憧れている少年が、体験し行動するなかで航空領域の別の仕事に興味を持ち、自分に向いているのはパイロットではなくエンジニアだと気づくかもしれない。

このように無限の可能性を秘めた子どもたちが、「本物」を知ることで理想の未来を描くことができるよう導いていくのが「空ラボ」だ。導くといっても「教える」のではなく、個々が持つ力を「引き出す」のだという。「空ラボ」を運営するのは室屋選手が代表を務める“パスファインダー”、その意味するところは「開拓者」。自ら道を切り拓き、ワールドチャンピオンを獲得した室屋選手の「今までいただいたものを次世代に繋いでいくことは自然の流れだと思います」という思いと共に、いつの時代も開拓者であれ、という精神がこのプログラムには込められているのだと思う。


他にもふくしまスカイパークでは室屋選手のデモフライトやエアショーなどの各種航空イベントが開催されている。私がその日に乗車したタクシーの地元ドライバーが「今日は室屋さんには会えましたか?ここで活動してくれているから、イベントのときにはファンがたくさん集まって地域が賑やかになるんです。ありがたいことです」と我が町の誇りのように語っていたのも、彼の活動が地元に根付き愛されている証拠だろう。

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