ピレリとプラダが共同開発した「完全に水上走行する」ヨットとは?

Pirelli

世界最古のスポーツトロフィーとして知られるアメリカズカップ。第36回大会の決勝は2021年3月にオークランド(ニュージーランド)で開催される。アメリカズカップは、カップの保持者と挑戦艇との一騎打ちとなるため、まずは2017年の第35回の優勝艇であるエミレーツ・チーム・ニュージーランドにチャレンジする挑戦艇を決める総当たり戦が行われることとなる。この挑戦艇決定シリーズを制したチームが、ニュージーランドに挑戦する権利を得るのだ。

その挑戦はすでに始まっており、2019年~2020年にかけてアメリカズカップ・ワールドシリーズが行われ、2021年の1月と2月にチャレンジャー セレクション シリーズへと続く。第35回大会まではルイ・ヴィトンカップと呼ばれていた挑戦艇決定シリーズは、2021年の第36回大会からはプラダカップと呼ばれるようになった。アメリカズカップを手に入れるには、まずはプラダカップに勝利しなければならない。

1997年に結成されたルナ・ロッサ チームは、発足直後に挑戦艇決定シリーズで勝利を収めて2000年のアメリカズカップに挑むという快挙を成し遂げたチームで、その後も2003年、2007年、2013年にアメリカズカップに参戦し、2007年と2013年には挑戦艇決定シリーズの決勝に進出している。そのルナ・ロッサをピレリとプラダがサポートしているのだ。彼らにとって5回目の挑戦となる第36回アメリカズカップにおいても、ルナ・ロッサは挑戦者代表(Challenger of Record)の権利を得て前回優勝のエミレーツ・チーム・ニュージーランドに挑むことを目標としている。



そのピレリとプラダが共同開発した、“完全に水上走行する”ヨット「AC75ルナ・ロッサ」が2019年10月に進水した。2021年の第36回大会から採用された新しい規格により、船体は単胴船に戻された。水上を飛ぶように走るこのヨットは、船体に7000㎡のカーボンファイバーと400㎡のアルミニウムを使用することでボディを軽量化。その巨躯を、最大27トンもの負荷に耐えうる2つの特徴的なフォイルと船尾のフォイルで支え、船体のハル部分は海面から完全に浮いた状態となる。また、2本の帆が平行に吊り上げられる形で取り付けられたソフトウィングは、内蔵システムがその形状を制御するという。



アメリカズカップはF1同様に偉大な歴史と伝統を誇る、プレステージャスなヨットレースだ。テクノロジーの進化も目を瞠るものがあり、その技術を使いこなすクルーのチーム力にも注目だ。まだアメリカズカップの開催までは一年以上あるが、他のチームについても随時アップデート情報が出てくるのを楽しみに待ちたい。

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