18世紀の名工フェルディナント・ベルトゥーの偉業へのオマージュ

Chronométrie Ferdinand Berthoud

2015年に発表されたクロノメトリー・フェルディナント・ベルトゥーの初作であるクロノメーター 「FB 1.1」モデルが、ジュネーヴ時計大賞(GPHG:Grand Prix d’Horlogerie de Genève)の最高賞である金の針賞を受賞したのは、発表からわずか1年後の2016年のこと。三年後の2019年に再びGPHGにエントリーしたクロノメトリー・フェルディナント・ベルトゥーは、同大賞のクロノメトリー部門において、浸炭スティール製レギュレーターモデル「FB 1R. 6-1」で、クロノメトリー賞を受賞。二回目のエントリーで二度目の受賞となった。

フェルディナント・ベルトゥーとは、18世紀にフランス国王および海軍の元で熟練時計師兼技師として活躍した名工。彼が設計したクロノメーターは、文字通り「時を計測する装置」だった。安全な航海に欠かせないマリン・クロノメーターは航海中における唯一の計時方法であり、経度を計測できる唯一の機器でもある。精度こそがクロノメーターにとって最も重要な要素であり、精度の追究はフェルディナント・ベルトゥーの時計製造における根底を成す原理だった。


2019年のGPHGでクロノメトリー賞を受賞した「FB 1R.6-1」は、クロノメトリー部門において、唯一のレギュレーターモデルとしてエントリーした作品で、その古典的な文字盤の表示方法自体が、高精度機械式時計としての要件に適合したタイムピースである。独立表示された時針、分針、秒針は、優れた視認性を誇り、経度の計測こそが最も重要な機能であるマリン・クロノメーターを製作したフェルディナント・ベルトゥーが抱いていたクロノメーターへの基本概念を忠実に継承している。

今回の受賞は、フェルディナント・ベルトゥーの真価を忠実に継承しつつ、先進性への追究に挑戦したユニークなメゾン、クロノメトリー・フェルディナント・ベルトゥーの功績を称えるにふさわしいものといえるだろう。


同社のカール‐フリードリッヒ・ショイフレ社長によるコメントは以下の通り。「明確な卓越性こそ、今日のクロノメトリー・フェルディナント・ベルトゥーのストラテジーを体現します」「2015年、この“探求の旅”の始まりから、我々のメゾンは、精度の追究を使命としたフェルディナント・ベルトゥーの偉業へのオマージュとなるコンテンポラリーなタイムピースの設計に専心してきました。クロノメトリー・フェルディナント・ベルトゥーも同様に、この精度の追究こそが、私どもの製品開発の最も重要な指標となっているのです。まさしくフュゼ・チェーン機構を搭載したトゥールビヨンムーブメントの卓越した性能は、我々が誇りを持って披露できる技術であり、GPHG審査員の方々にも、この機能を印象付けることができました。今回、浸炭スティール製レギュレーターモデル「FB 1R.6-1」が受賞を成しえたことは、私どもにとって、これまでのメゾンの方向性を確信し、さらなる進歩を遂げるために歩んでいくための良き励みとなりました」


数ある時計規格の中でも最も厳格といわれる「カリテ フルリエ」において、その着用精度を検証するフルリテストのフルサイクルの2回の検査では、浸炭スティール製レギュレーターモデル「FB 1R.6-1」は素晴らしい結果を示した。さまざまな姿勢条件を加えたにもかかわらず、同モデルの精度差は極めて微小であり、36回のテスト中33回で1秒未満の数値を示し、ほぼ半数回のテストにおいて日差0.5秒以下を記録している。

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