世界最大のマーケット ランジス市場へ│50周年を記念してパリで開催

Photography:Tomonari SAKURAI

かつて、パリの台所はフォーラム・レ・アルの市場だった。12世紀から続いた市場は、その場所がパリの中心街であったこと、市場として手狭になったことから、1969年パリ郊外のランジスという街に移転した。ちょうど東京の築地から豊洲の移転のような感じだ。このランジス市場は生鮮食料品を扱う市場としては世界最大。東京ドーム50個分の広さという巨大なものだ。

このランジス市場50周年を記念して、11月15〜17日の3日間だけパリに帰ってきた。シャンゼリゼに面したグランパレ。しかし、この日マクロン大統領の政策に反対する”ジレ・ジョーン”(黄色いジャケット)の抗議1周年で大規模デモが予想されシャンゼリゼは歩行者も通行止め。その封鎖されたど真ん中にグランパレがあった。CRS(フランス警察の機動隊)にこのイベントに行く事を告げて何とか通して貰った。そのおかげで、せっかくのイベントも閑散としている。見るほうにしてみれば、人混みをかき分けるよりはずっと楽だが、出展者はたまらないだろう。


グランパレは1900年のパリ万博のために建てられたもの。現在では展示場と美術館として機能している。今回はランジス市場のイベント会場となった。イエロー・ジャケッ トのストライキのために道路封鎖され、人気もまばらな会場。

このランジス市場のパートナーには、自動車ブランドのルノーも。有名パティシエのピエール・エルメとコラボで参加していた。このイベント自体のメインスポンサーの一社でもあるのだ。担当者に聞いてみると、"市場での商品のデリバリーに、ぜひルノーを。"ということだった。


野外に展示されたルノーの車両から、カングーZE。100%電動カーだ。

そのために、構内を行き来する電装自動車のZOEの二台を冷凍室に改造したモデルなどを展示。200km走行可能な配送用のバン、ルノー MasterZE、日本でも人気のカングーZEなど商用モデルの電動モデルをアピール。広報担当者から勧められて、ピエール・エルメのマカロンを頂きながら話を伺ったのだった。およそ120のスタンドが軒を連ねた。野菜、魚貝、肉。それらが大半を占め、特に野菜のコーナーでは見た目にも分かりやすく季節のモノが色とりどり並べられた。中には珍しい品種のものも。

市場価格で買えるのかと思って、プライスタグを見るとはるかに高い!逆にこう言う特別の場だから普段は流通しない、高級品種をメインにしているようだ。キノコもちょうど今が季節。フランスの松茸とも言えるCépe(セップ茸)。それの香りと味を引き出す、厳選されたオリーブオイルと共に販売していた。おいしいセップだけの選び方なども教えてもらいながら、そこで買うことも出来る。


フランスの松茸、セップ茸。それと組み合わせると絶品なオリーブオイルとの共演。

魚貝のコーナーではカキの試食。フランスのカキは日本の岩牡蠣などに比べると、粒が小さいのが普通。ここでは日本のおいしい岩牡蠣のように、ミルキーで甘みのあるものを提供していた。肉のコーナーでは、大半がWAGYU(和牛)を展開。興味深そうに来場者も話を聞いていた。さすがに試食はない。

フランスの誇る鶏肉”ブレス”。世界最高級というブレス。トサカが赤で毛は白、足が青で正にフランスの国旗を表す。1匹5万円前後するモノもある。この品種は厳選されたものだけが、その名を名乗れることができ、それらの保護もしている。ブレスは世界に誇れるフランスの鶏ということで、その選定や飼育の仕方、保護育成をする組織がしっかりしているのだ。


世界最高級チキン、"ブレス"。洋服を着させられているのは、こうすることで肉全体に脂が廻ってよりおいしくなるためだそうだ。

"黄色いジャケット"のおかげで、来場者は少ないが市場ならでの活気は失っておらず、あちこちから良い匂いが。ユネスコの無形文化遺産として、登録されているフランス料理を支えるランジス市場の市場をパリで気軽に楽しめるイベントとなったのだった。

写真&文:櫻井朋成 Photography&words: Tomonari SAKURAI

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