スペシャル中のスペシャル│3台のみ造られたフェラーリのレーシングカーとは?

RM Sotheby's

「果報は寝て待て」という言葉はクラシックカーオークションには当てはまらない。だが今回ばかりは、この1、2年、誘惑に逆らってきて本当に良かったと胸をなでおろしている裕福で辛抱強いフェラーリ・コレクターがいたに違いない。こういう場合に備えてきた者だけが、まさかオークションに出品されるとは想像すらできなかったこの希少な1台の争奪戦でポールポジションに付くことができたのだ。

わずか3台しか造られなかったレーシングカー、フェラーリ275GTB/Cスペチアーレの1台目、シャシーナンバー06701がモントレーのRMオークションに登場したのである。


 
275GTB/Cスペチアーレはル・マンでコブラ・デイトナやフォードGT40を、スピードでも耐久性でも上回る究極のウェポンとして生み出された。基本的には250GTOの直系だが、独立式リアサスペンションやトランスアクスル式ギアボックスなどの改良が加えられている。また、その後市販された標準仕様の275GTB/Cよりはるかにパワフルで、3.3リッターのV12エンジンは出力320bhpを誇った。 



シャシー06701は1965年4月に完成しているが、運命のいたずらから、当初は競技参加が認められなかった。その理由は「過度の軽量化」。その後決定は覆ったが、1965 年のル・マンで走ったのは06885のみで、2台の250LMに次ぐ3位を獲得している。その後06701はイタリアのトリエステに売却されて何人ものエンスージアストの元を転々とした。


 
コレクションにふさわしいキャリアをサーキットで積むことは叶わなかったが、フェラーリ史上最も偉大な創造物であることは議論の余地がない。それだけに激しい入札合戦が予想され、推定落札価格は公開されていなかった。実際の落札価格は、2640万ドル:約28億5000万円であった。

原文翻訳:木下 恵 Translation: Megumi KINOSHITA

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