2020年で90周年を迎えるピニンファリーナ│85周年記念コンクールの結果は?

Pininfarina

イタリアを代表するカロッツェリアである、ピ二ンファリーナは2020年で90年を迎え、ひとつの節目にさしかかっている。現在では、筆記具や、ボート、建築デザインなども手掛けるなか、アウトモビリ・ピニンファリーナでは1900馬力を発揮するハイパーEVであるバッティスタ・ピ二ンファリーナの開発も行っている。90年で培ってきた技術やデザインの歴史を現代でも受け継ぎ、様々なスタイルでブランドをパワーアップさせているのだ。

2015年には創業85周年を記念し、イタリアの車の首都ともいえるトリノで、創業85周年を迎えたピニンファリーナを主役とするイベント、その名もコンコルソ・デレガンツァ・ピニンファリーナが開催された。

この新しいイベントは、パルコ・ヴァレンティーノ・サローネ&グラン・プレミオのイベントの一環として催されるもので、カステロ・デル・ヴァレンティーノの中庭に、ピニンファリーナの歴史に残る50台の車が展示された。これに先だって街の中心部を巡り、ピニンファリーナの作品が走る芸術品であることを集まった人々にアピールした。

その中で、最優秀賞を受賞したのはランチア・フロリダであった。1955年に発表したフロリダは、アウレリアのシャシー上にピニンファリーナが架装したコンセプトモデルで、1台のみが造られたものだ。


 
ピニンファリーナ・デザインチーフのファビオ・フィリピーニ、フェラーリのスタイリストであるアンドレア・ミリテッロ、BMWスタジオ部長のカリム・ハビーブという錚々たるメンバーから構成されるジャッジ・グループが、ランチア・フロリダを最優秀賞に選出。受賞理由は、ランチアの85年間の歴史が重要視されたことのほか、それ以降の自動車デザインに大きな影響(たくさんの亜流が誕生した)を与えたという重要性からであった。
 
フロリダはこれまでサンフランシスコ在住のオーナーの元にあったが、現在はミラノのコラード・ロプレストが所有している。イベント参加にあたっては、ロプレスト邸のあるミラノからトリノまで自走でやってきたが、その途中では、豪雨に見舞われたそうだ。
 
世界中から数々に逸品がトリノに集まったことで、優勝トロフィーをかけて熾烈な戦いが行われた。カロッツェリアの手になる幻想的ボディを持つヴィンティッジカーや、ジム・グリッケンハウスのエンツォベースのフェラーリP4/5、ピックアップトラックボディを持つ1992年フィアット・チンクエチェント、1980年にピニンファリーナ社50周年記念のために製作されたワンオフのフェラーリ・ピニン・サルーンなどだ。ピニンファリーナのファクトリー・ミュージアムからは、ナッシューヒーレーのプロトタイプ、カンビアーノやセルジオといった最近のコンセプトカーなども展示された。
 
ジーノ・コーエン所有の1947年チシタリア202には、最も優雅な車としてボヴェット賞が送られ、またアン・リーとボブ・リーが出品した1952年フェラーリ212インテル・カブリオレには、パオロ・ピニンファリーナ自身が選定したチェアマン賞が贈られた。これは、リー家との長期に渡る交友関係に加え、フェラーリとピニンファリーナのコラボレーションの始まり特徴付けるものであったことが受賞理由だった。



初代ピニンファリーナの孫に当たるパオロ・ピニンファリーナ社長は、「当社の歴史における主役の三世代であり、ピニンファリーナ・ファミリーの趣に一番近いと私が感じるこの車に賞を贈ることを喜んでいます。選定の審査基準は審美眼にもよりますが、主には車自体が発する情熱によるものです」と語った。
 
メインイベントのパルコ・ヴァレンティーノ・サローネ&グラン・プレミオのフィナーレは、パレードで締めくくられた。マッシモ・ダツェリオ大通りからヴェナリア宮殿まで、トリノ中心地の交通が14kmにも渡って封鎖され、何百台ものクラシックカー、スーパーカー、ショーカーがパレードを行った。



主催者らは、トリノの豊かな自動車産業の伝統を世界中にアピールする機会になると、このようなイベントを良い機会だと捉えている。

オクタン日本版編集部

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