究極のブラックコーティング素材を採用│H.モーザーの革新的な新作

Octane Japan 編集部｜ 2019.12.13

1828年に創設され歴史を持つH. モーザーより、革新的な時計が登場。コントラストをより引き立たせ、高級時計において最も複雑で最も伝統的な複雑機構のひとつであるトゥールビヨンの本質に立ち返るべく、主に天体物理学や航空宇宙の分野で使用されているベンタブラックを採用した。

アルミニウムのパーツに囲まれた、インデックスもロゴもないベンタブラックダイアルにはトゥールビヨンが配され、洗練されて超現代的でありながらタイムレスなデザインでその美しさを強調する。

現存する物質の中では最も暗いことで知られる究極のブラックコーティングベンタブラックは、天体物理学の分野では望遠鏡、軍事分野では特定の装備のステルスレベルを向上させるための熱迷彩、シビルエンジニアの分野ではソーラーパネル、さらに最近ではコンセプトカーにも使用されている。人間の髪の毛の1万分の1と極めて細いカーボンナノチューブ(筒状炭素分子)で構成されており、光の99.965%は吸収されてしまう。人間の目で対象物を認識するには光の反射が必要なため、物質として認識されないブラックホールのような存在になる。衝撃や振動には耐性があるが、非常にデリケートで扱いに注意を要するのだ。

この素材を適切に加工するには、H.モーザーでも構造を整備して特殊な工程を開発する必要があった。ダイアルをサプライヤーに搬送するためだけに特殊なケースが開発され、ケーシングに至るまでの取り扱いや針の取り付けのための専用工具も製造された。サファイアクリスタルの奥に収まれば、ベンタブラックは金庫に保管されているかのような保護状態に。

このようにして、存在感を放ち、黒が持つパワーを発揮するデザインに仕上がった。厳選された素材の複雑さや搭載された自社製 HMC 804 ムーブメントを引き立てるシンプルなデザインだ。

シャフハウゼンを拠点とするマニュファクチュールは、ベンタブラックに加え、ガンギ車、テンプブリッジ、脱進機ブリッジを含むトゥールビヨンのケージにも航空宇宙の分野で用いられるアルミニウムを採用。このアルミニウムも従来よりも剛性を高めた革新的な素材で、真鍮よりも軽量性に優れているという利点があるという。

これにより、パフォーマンスの強化にもつながり、さらに振幅も約10%増大した。H.モーザーならではのディテールへのこだわりで、トゥールビヨンブリッジおよびテンプブリッジにはブラック PVD コーティングが施され、ベンタブラックダイアルの底知れぬ淵を思わせるブラックを引き立てる。

創意の極致ともいえるこの自動巻き HMC 804 キャリバーには、自社で設計および製造したダブルヘアスプリングが使用されている。このヘアスプリングのペアにより、拡張時の各ゼンマイの重心の動きが補正、摩耗が軽減され、精度と等時性が大幅に向上し、継続的な完成度が実現される。

このように大胆なデザインの純粋なモデルは、設計するだけでなく、身に付ける人も、自信にあふれていてほしいものだ。疑う余地のない、H.モーザー社スタイルの高級時計である。

エンデバー・トゥールビヨンコンセプトベンタブラック®
リファレンス 1804-0212
ホワイトゴールド製モデル
Vantablack® ダイアル
ブラックアリゲーターレザーストラップ

ケース
18K ホワイトゴールド、3パーツ構成
直径:42 mm
厚さ:11.6 mm
サファイアクリスタルのシースルーケースバック