BMWとの強い絆がプロダクトを生み出す│アルピナの現在と未来をインタビュー

今年、日本において輸入開始から40周年という節目を迎えたアルピナ。輸入元のニコルオートモビルズは、’87年から輸入車メーカーとして東京モーターショーへの連続出展を後押ししている。それに応えるかたちで今回のブースでは基幹車種となるB3リムジンのワールドプレミアというサプライズもあり、合わせてアンドレアス・ボーフェンジーペン社長も来日。アルピナの現在と未来について訊ねてみた。

今回発表された新型B3について。G20系3シリーズをベースとするそれは3リッターユニットをオリジナルチューニングでツインターボ化。462ps/700Nmの強烈なパワー&トルクを4WDで受け止め、0〜100km/h加速は3.8秒、最高巡航速度は303km/hに達するという強烈なスペックを有している。



「新しいB3にとって一番の開発課題は、エミッション項目をいかにクリアするかでした。昔はパワーとトルクが一番の課題でしたが、時代は変わりましたね。工夫を重ねて、B3はガソリン用のパティキュレートフィルターを有しながら、史上最強のスペックを実現しています。鍵となったのは最新のターボテクノロジーです」
 
また、新しいB3ではドライビングフィールに重点を置いた「ALLRAD」を採用しているのも、新しいトピックだ。「ベースとなる3シリーズはG 20 世代になって車体の剛性は大きく上がりました。それに乗じて我々のパワーも想定以上のものを得ることができた。そういうわけでB3では駆を採用しました。また、タイヤに専用チューニングのピレリを採用したのも新しい試みです。構造やコンパウンドから専用に開発し、このタイヤに合わせてダンパーなどの合わせ込みを施しています」
 
B3を例にアルピナの車両開発のプロセスを訊ねると、まずベース車両となるモデルのCADデータがBMWから届くのがニューモデル発売の約2年前だという。このため早期からの開発準備が可能となり、ベース車の発売後はテストドライブを数回重ねてタイヤのスペックを確定。それに合わせて想定していたダンパーやスプリング、キャンバー角などのスペックを擦り合わせていく。装着タイヤは1車種あたり1銘柄と決め込んでいるからこそ施せる、微細なファインチューニングがアルピナの味わいを左右するがゆえ、交換時も指定銘柄を強く推奨されるのは当然だろう。
 
ところで、アルピナはなぜBMWとこれだけ深い関係を築き続けることができているのか。これはかねてから抱いていた疑問でもある。

「それは恐らく我々がBMWのラインナップと重ならない、隙間の車を作ろうとしているからではないでしょうか。それは結果的に、静的にも動的にもよりエクスクルーシブなものに乗りたいというユーザーとBMWブランドとの間を取り持つようなプロダクトということにもなるわけです。加えて、ノイエクラッセ用のキャブレターキットから始まり50年以上になるBMWとの関係は、有り難いことにカスタマーやメディアからも高く評価いただいています。これらがBMW側にとってもイメージ向上に繋がっていると判断してもらえているのだと思っています」
 
特にドイツ、アメリカに次いでアルピナのプロダクトを多く支えてくださっている日本のカスタマーに、そして通算で5500台もの販売を記録しているニコルオートモビルズのスタッフにも感謝を伝えたいとボーフェンジーペン社長は言う。そして一貫してアルピナのビジネスを支えてきたニコルオートモビルズのC.H. ニコローレケ代表は、これまで日本で販売してきたアルピナのモデルたちのリフレッシュにも積極的に取り組んでいるという。



「但し、我々がやるべきは大々的なレストアビジネスではなく、愛車に乗り続けたいというカスタマーの想いを後ろ支えするスタンスだと思っています。今も1台そういった車両を手掛けていますが、部品調達や整備ノウハウなどでアルピナ側と連携しながら、コツコツと仕上げていくプロセスを採っています」
 
いたずらに販売台数を追わず、商品やサービスの質を重視してカスタマーの満足度を地道に向上させる。アルピナのビジネスは今後も確実にカーガイの支持を集めることだろう。

文:渡辺敏史 写真:奥村純一 Words:Toshifumi WATANABE Photo:Junichi OKUMURA

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