AB YATCHS 100 流麗でいながら異彩を放つ100フィートのクーペフォルムのメガヨット

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AB YACHTSはスポーツボートを象徴するブランドとして1992年にViareggioで誕生した。

BENETTIやSANLORENZOなどメガヨットが拠点とする聖地Viareggioでは、1970年に設立されたFIPAグループには、1980年にメガヨットの名門MAIORA、そして2001年にはこのAB YACHTSがグループに入る。さらに2005年にはハイエンドヨットCbi Navi、および最先端ボートヤードINTERMAREとグループを結成し、今では個性的なメガヨットグループとして一大勢力を保っている。

このAB100は、2016年のカンヌヨッティングフェスティバルにて正規デビューを果たした。その後、光栄にもテストをする機会に恵まれた。AB YACHTSの際立つところはAB58、AB68、AB78、AB92、AB100、AB116、AB140、AB145 のラインアップのすべてがクーペフォルムのハイパフォーマンスボートであり、ウォータージェットをその駆動推進ユニットとしていることだ。

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軽量かつ強固なエポキシレジンのサンドウィッチバキューム方式のGRDハルは、カーボンケブラーのストラクチャーで更に強化され、このクラスのハイパフォーマンスボートに必要な強靭かつ軽量なハルを作り上げている。メタリックシルバーの上部、スパルタンなグレートーンのハルカラーのバランスが趣味性の高さ、デレッタンティズムを潜ませている。

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乗り込んでみる。シートイガレージに連結するスイミングプラットフォームはチルトダウンし、快適なビーチゾーンを作り出す。広々としたアフトコクピットには5~6名が並べるサンベッド、ハイテックマテリアルのテーブルと椅子がさりげない。ウエットバー、冷蔵庫の用意はあたりまえ。チークの張り巡らされたデッキは深いウォークアラウンドの通路でバウデッキに至る。

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バウにはサンベッドとCシェイプのラウンジシートとテーブルが用意されている。左舷のボンネットハッチからはロアデッキのバウ前方に用意される2段4名の豪華なバウキャディのクルールームに至る。バスルームはもちろんクルー用ダイネッティ、フル装備のギャレーに連結している。クルーとゲストの導線は隔離されてサービスに徹することができる。メインフロアに戻る。ルーフもサイドウォールもホワイトのトーンコントロールが施され、ホワイトオークのフロアには左舷にLシェイプのたっぷりとしたファブリックソファが配され75inのTVモニターが迫力のAV空間を作り上げている。

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キャビネットでエリアを分けられた前方には黒い大理石のテーブルに8脚の本革チェアが並びディナーテーブルを形成する。両舷にはキャットウォークへのイージーアクセス用にパンタグラフ式ドアが用意されている。ブラックアウトされたコンソールにはシート同様クラシカルグレーを象徴するダブグレーのレーザーが張りこめられている。センターにはブラックのステアリングホイールが水平に飛び出している。このステアリング、スウェーデン製MJPウォータージェットとコンピューター制御で連動しているのだ。

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ヘルムの右からコンパニオンウエイをループ状に降りるとホワイトのギャレーとダイネッティエリアに至る。ミルキーホワイトを基調色にグレイ&ブラウンのトーンコントロールされたロアデッキはバウ側にVIPルーム、右舷左舷に2ベッドのゲストルームがそれぞれ専用のパウダールームを持って設えられている。中央部にはフルビームのオーナーズステートがある。ウォールのいたるところには著名なアート作家の作品が飾られハイセンスを際立たせている。さらにオーダーメイドのインテリアは細部にいたるまで工芸品の域を漂わせ、エレガントの極みを見せる。

AB100はウォータージェット3基のフネだ。カンヌ沖、晴れ。気温24度、南西風6m。

チョッピーな波とうねりがある。1000rpm9.0ノット(32L/h1基燃費)、1250rpm11.3ノット、1500rpm13.6ノット。静寂の中で速度が上がる。1800rpm27.5ノット(213L/h1基燃費)。2000rpm37.3ノット(270L/h1基燃費)速度感を感じないまま40ノットオーバーに。2100rpm45.5ノット。転舵を試みる。パワーセンタリングの半力を持つステアリングを軽く切り込む。軽やかなインサイドバンクを伴ってバウからスーッと回り込みがはじまる。S字の切り替えしもイメージ通りのトレースを描いてくれる。ウォータージェット艇の操船が楽しくなる。MAXを試みる。全エンジン2220rpm48.9ノット(356L/H1基燃費)そのままステアリングを切り込んでいくと、Jの字のタイトターンに入り、速度が落ち、なんとその場回頭に移るのには驚いた。

AB100の魅力は、ダイナミックさの中に隠れ住むエレガントなたたずまいを醸し出すダンディズム。ABの由来は、カッティングエッジであり常にマリタイムの先端を行く意思がもののはじめのAとBをビルダー名にしたと。デザインはAB YACHTSのインハウス。インテリアはビスポーク、オーダーメイドだ。新たな神話が始まる予感に満ちている。3基のMAN12V1900hpにZF3050マリンギア+スウェーデン製左右MJP500CSUウォータージェット、センターはMJP500Boosterウォータージェットの組み合わせ。

山崎憲治(Kenji Ymazaki)

問い合わせ先:株式会社ステーベル

http://www.boatworld.jp/

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