驚異的なスペック!世界77台限定 美しきスポーツカーのパワー源は?

Photography:Matthew Howell

これは、その美しさが故に多くが「塩漬け状態」にされたスポーツカーとは?の続きです。

『EVO MAGAZINE』の編集長だったハリー・メットカルフェは、この究極のアストンが生み出す圧倒的なパフォーマンスと、それをすべて引き出すことの難しさを体験した数少ないメディア関係者のひとりである。

「高速道路での通常のペースをはるかに上回る速度域で、しかも直線を走行中にホイールスピンを引き起こしてドライバーを瞠目させる車がかつて存在しただろうか?」 One-77のことをハリーはそう表現している。

「 この信じられないようなパフォーマンスを自らの支配下に置き、自在に操る術を私は持ち得なかった。けれども、いつの日かそんなスキルを手に入れたいと心から願う。One-77オーナーのなかには、そこまでのドライビングテクニックを身につけられなかったがゆえに、自分のコレクションに加えてただただホコリまみれにしてみたり、できるだけ早く売り飛ばしてしまおうとしたりする者がいるようだ。しかし、彼らには見逃している点がある。One-77は、あり余るパワーゆえに不可避的にカリスマ性を身につけてしまった、車の形をしたモンスターなのである」



それほどのパフォーマンスを生み出す源は、いったい何だったのか。最先端のテクノロジーと伝統が磨き上げたクラフトマンシップの目を見張るような融合こそ、その答えだろう。圧倒的な剛性と軽量(わずか180kg)を誇るカーボンコンポジット製モノコックは、職人たちが手作業で仕上げたアルミ製ボディパネルで包み込まれる。左右のフロントフェンダーはそれぞれ1枚のアルミシートを加工して作り上げられるもので、これを完璧な状態に仕上げるには1枚あたり3週間を要する。

アストンマーティン製V12、5.9リッター・エンジンはコスワース・エンジニアリングによって徹底的に手が加えられた。ボアとストロークを拡大して排気量を7.3リッターまで引き上げながら、高回転化を実現するためにエンジン内部のパーツを大幅に見直すことで60kgもの軽量化を成し遂げたのだ。

編集翻訳:大谷 達也 Transcreation:Tatsuya OTANI Words:Peter Tomalin Photography:Matthew Howell

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