都心でも「飼える」V12フェラーリ│訓練された犬のように従順な一台?

Photography:Paul Harmer

この記事は『現実的な値段で手に入るV12 フェラーリ?都心でも「飼える」2台のサラブレッド』の続きです。

巨大な製粉機のようなアイドリング音はそれだけでワクワクするもので、早く走れと急かされているようだ。根元がカバーに覆われた(多くのモデルはゲートが剥き出しだ)レバーは重いが正確で、簡単にスロットに入る。ちょうどいい重さのクラッチをつないで、非常に高いギア比のローで動き出す。まだ冷えているギアボックスが気になったが、2速に入れる際にもまったく抵抗は感じなかった。

ZFのパワーステアリングは滑らかで正確なインフォメーションを伝えてくれる上に、全輪独立のサスペンションはコニのダンパーでしっかりコントロールされ、しかもリアはセルフレベリング機構付きである。素敵なクロモドラのアルミホールには225/70×15という古風なサイズのミシュランXWXが組み合わされており、そのおかげもあって穴だらけのロンドンの道でも乗り心地はスムーズだった。

 
混雑したケンジントンが大きなクラシックGTカー向きの場所ではないことはいうまでもないが、GTC/4は訓練された犬を散歩させているかのように従順で、思った通りに扱える。それも当然というべきか、何しろこの車はフェラーリ・クラシケの保証書付きのコンクールデレガンス・ウィナーである。私はどちらかと言えばウェバー・キャブレターの信奉者ではない。というのも、ウェバーはフルスロットル時に最高の性能を発揮するように考えられており、ロードカーの場合はいささか扱い難いのが難点なのだが、この車の6基のキャブレターはスムーズにレスポンス良く、V12エンジンのクリーミーな大トルクを完璧に制御してくれた。


 
だが、いつまでも街中を流している場合ではない。モーターウェイに向かい、365GTC/4のスロットルペダルを踏みつける。途端にサラブレッドがその本性を露にし、どこまでも、果てしなく伸びて行く。4カムV12ユニットに潜む悍馬が解き放たれたその瞬間、これはおとなしい実用ユニットなどではないことを実感するだろう。むしろ7000rpmのリミットに向かって猛烈に吹け上がる高性能ユニットである。
 
フェラーリV12が全力で咆哮している時の途方もなさに匹敵するものはない。4本のテールパイプから吹き出すサウンドはただただ素晴らしい。静かというのは正確ではないが、風切り音はまるで気にならず、高いギアを持つおかげで、その気なら大トルクを利してメカニカルノイズを抑えることもできる。GTC/4はモーターウェイのコーナーを、まるで根が生えたように安定して辿っていく。アンダーステアは事実上感じられず、その上快適そのものだ。見事に製作された車は皆そうだが、飛ばせば飛ばすほどますます素晴らしく、巨大なディスクブレーキも自信をもって扱える性能を発揮してくれる。


 
365GTC/4は、長い間より高性能な365GTB/4デイトナの影に隠れて目立たないままだった。しかしながら現実の路上で使用することを考えれば、より優れた車である。合理的でより洗練されており、最高速競争以外ではデイトナに肩を並べると言っていい。ただし、値段は常にデイトナの半分ほどで、それは今後も変わらないだろう。もっとも、それは完成度の高いツアラーを求める人には朗報である。
 
GTC/4は1972年に365GT4 2+2に後を譲る。それは続いて400に、さらに400iに進化し、1985年には412に変わる。


次回は412をレポートする。

編集翻訳:高平高輝 Transcreation:Koki TAKAHIRA Words:Robert Coucher Photography:Paul Harmer

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