ベントレーの真髄を感じるミュルザンヌの魅力│2020年で幕を閉じる伝統の8シリンダー

Ryota SATO

2019年、創業から100年を迎えたベントレー 。一年を通し様々なイベントが行われ、スペシャルなモデルも登場した。コンチネンタルGTコンバーチブルをベースに戦前のベントレーブロワーをオマージュした限定車や、未来のグランドツアラーを提案するコンセプトカーEXP100GTなどが記憶に残る。だがそれに止まらない。ベントレーは全モデルに特別仕様車を設定した。“センテナリーゴールド”のバッジを付けたのがそれだ。どれもコレクターズアイテムとなる。
 
そして年を明けた2020年、ベントレーは新たな時代に入っていく。101年目のリスタートだ。ここでは、その中で注目すべき3台をフューチャーしたいと思う。まずはミュルザンヌ・スピード。ベントレーのラインナップの中で一際孤高の存在となるモデルだ。


 
と、その前に、ミュルザンヌは今年春に生産が終了するのをご存知だろうか。去る1月、そんなリリースが本国で発表された。要因は明確ではないが、近未来の電動化が囁かれる。コンチネンタルGTやベンテイガの販売が好調の中、その流れは確実に来ているようだ。企業としては利益が出ている間に進めないといけない案件だろう。まぁ、フォルクスワーゲングループとしての技術共有は大きなメリットとなるであろうが。
 
それはともかく、ミュルザンヌは特別な車である。実際に英国クルーのファクトリーに足を運んだ時にも驚いたが、少ない台数ながらミュルザンヌには他のモデルと混在しない独自の生産ラインがあてがわられる。とにかく手づくりの部分が多いのだ。しかもエンジンは1959年から改良されながらも綿々とつくり続けられる伝統の8シリンダー。ベントレーの真髄はここにあり!と言いたくなるシロモノだ。もちろん、現行型は気筒休止も可変バルブタイミング機構も付いている。


 
ミュルザンヌ・スピードはそんなスタンダードモデルのハイパフォーマンスバージョンとなる。標準車が512psなのに対し537psにスープアップされ、21インチの専用ホイールやステンレススチール製テールパイプなどで化粧される。ミュルザンヌ自体存在感は半端ないのだが、ミュルザンヌ・スピードはさらにそれを上回る感じだ。
 
当然、こちらの方が価格は高くなり4000万円オーバーのプライスタグが付く。標準車との差は300万円以上。が、おもしろいことに販売台数はミュルザンヌ・スピードの方が上だそうだ。理由は、どうやらこの価格帯になると差額は大きく影響しないらしい。「一番いいやつ持ってきて」というやつだ。


 
実際に走った印象はまさに王様にでもなった気分。乗り心地はどこまでも優しく、キャビンに振動などはこない。まるで別世界。ただ、それでもステアリングの正確性は高くドライバーはクルマを操る感覚を楽しめる。そこはさすがベントレーである。兎にも角にも、生産終了が決まっているだけに、プレミアム度は相当だ。


次回はベントレー初のSUV ベンテイガをお届けする。


文:九島辰也 

文:九島辰也 

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