仕事で大切なことは、本国の伝統との橋渡し│ベントレーと日本を繋ぐ人物にインタビュー

Bentley

ベントレーのアジア地域を統括する立場に、新しくバーンド・ピヒラ―さんが就任した。1月後半の来日に合わせインタビューの機会を得た。アジア、そして日本におけるマーケティングにどのような見解を持っているのだろうか。


ー バーンド・ピヒラーさん(BERND PICHLER)
私は以前、他の自動車ブランドでアジア中心にファイナンスやマーケッティング、セールスなど幅広い分野を担当していました。英国や中国のフォルクスワーゲングループでも仕事をしましたし、直近はベントレー本社のCFOも担っていました。
 
現在勤務地はシンガポールです。私自身アジアでの経験が豊富なのでベントレーのアジアパシフィックを統括することになりました。自動車という夢のある産業に従事している以上、やっぱりトップレベルのブランドで、最高峰のドライビングプレジャーを目指していきたい。そうすると何といってもベントレーですよね、私にとっては、今は夢が叶ったような気持ちですし、とても光栄だと思っています。ベントレーのセールス&マーケティング担当役員のクリス・クラフト氏をはじめ、ボードメンバーとも親しい関係が築けています。それもベントレーは働きやすい理由のひとつですね。
 
アジアパシフィック・リージョンダイレクターの仕事を一言で表現すると、UK本国とアジア地区との橋渡しです。それには大きく二つの役割があると考えており、一つは伝統に基づいた本社のベントレーらしさ製品、テクノロジーをアジアに正しく伝えること。そして、もうひとつは地域のニーズや特徴、アジアの方々が何を求めているのか、それを吸い上げて本社に伝えていくことです。

アジアは多様性に満ちています。国によってそれぞれ特徴があることをUK本社にきちんと理解してもらう必要があります。欧州でのマーケッティングは、どうしてもEUを一つとしてまとめて考えてしまうことが多い。またベントレーとしても、多くのことをヨーロッパ標準で考えてしまう傾向があります。でも自動車は、例えば規格の問題やレギュレーション、サーティフィケーション、ホモロゲーションなどが、国ごとに異なります。日本での消費税増税の問題なども考慮しなくてはならないですし、そういった違いを相互に正しく理解していく必要がありますね。

ベントレーのようなプレミアムカーの場合、マーケットに対応するためのリードタイムはどうしても長く取らなくてはなりません。それを各国ごとに戦略を立てて対応できるように、本国に働きかけていくことがお客様のためになると考えています。
 


日本では10年前の状態から考えると、すでに5,300台以上ものベントレーが販売されています。2019年はとても販売が好調であり、2020年はさらにお客様から求められる台数も増えると考えています。ラグジュアリーブランドにおいて、ベントレーはとてもユニークなブランドを形成していると考えられます。したがって、どのブランドがライバルであるとかを決める必要はありません。ベントレーはベントレーであり、比較するものはないからです。
 
車を所有する以上、いつかはベントレーに乗りたいということが、多くのラグジュアリーカスタマーの夢かもしれません。そして世界的には、プレミアムカテゴリーの車を手に入れた方が、次にラグジュアリーブランドを手に入れる、そのサイクルがどんどん早くなってきているように観ています。つまりオーナーが若くなってきているということです。ベントレーも、若いカスタマー層に好まれるようなスポーティさも加わってきています。

ベントレーブランドとしてライフスタイル提案も大切です。たとえば腕時計やスキー、眼鏡、オーディオなど、様々なコラボレーションはすでに行っています。

それは推奨すべきプロジェクトです。ただし個人的にはパーフェクション、つまり完璧であることが重要だと考えています。センターオブエクセレンス的な考えとでもいいましょうか、我々ベントレーと同じくらい完成度の高いブランドとではないと、コラボレーションのバランスが合いません。
 
ライフスタイルとは非常に大きな概念であり、その世界を大きく広げていくことは可能です。何を着るか、どう過ごすか、何を持つか、などなど。ただし突き詰めればそういったスタイルはすべて自分で決めることができることばかり。やはり究極の体験としてのベントレーは、まさにコアでなくてはならないと考えます。

いま自動車産業は非常に大きな変革を迎えています。コネクティビティや自動運転など新しい技術もとても重要です。一方で生産が終了するミュルザンヌのような偉大な車を楽しむには格好の時期とも言えます。101年目からのベントレーを、ぜひ楽しんでいただきたいですね。

オクタン日本版編集部

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