まるで未体験ゾーンの異次元移動体│トップの刺激を味わうパーシング 8X



フライブリッジに上がる。彼らはフライブリッジをサンデッキと呼ぶ。そのサンデッキには低いセイフティパイプが両サイドにセットされ、コの字ソファにサンベッド、3脚の操船席ヘルムシートと背後のソファユニット、後部にゆったりとしたサンベッド、設えはそれだけだ。前方にはポップアップコンソールのカーボンケブラー製インスツールメントパネルのスパルタンな操船席が用意されている。



もちろん中央のシートがキャプテン用、その前にステアリングがインスツールメントパネルから水平に飛び出し、スポーツスクリーンの下に2画面のマルチモニター、左手のXentaジョイスティック、右手床にセンターコンソールがある。そこにはエンジンコントローラ―、前後スラスターレバー、トリムレバー、サーフェスドライブのチルトレバーと操船の心臓部が整然と並ぶ。そのすべてがどこかCOZYな趣でオブラートされ、ナロウなフライブリッジを演出している。実にクールだ。

出航準備が整ってきた。やはり高揚感に襲われるのがスペースフライヤーのコマンドステーションを思わせるメインヘルムステーション。カーボンケブラーでブラックアウトされたコンソールのフレームにはポルトローナ・フラウの選んだ本革のトリム施されている。3脚のポルトローナ・フラウ製シートの中央がキャプテンシート。正面にシングルスポークのステアリングホール、その上部にカーボンのインスツールメントパネルがある。24インチのGPSプロッター&レーダーモニター、CCDカメラモニターなど全てタッチセンサーのSIMRADマルチモニターが2面立ち上がる。ステアリングの両脇には21インチのモニターがある。



その左のモニター、左右のエンジン関連をグラフィックにアナログ表示するだけではなく実は大変重要な表示がなされている。サーフェスドライブを管理するモニターだ。コンピュータITコントロールのTopsystem Surfes Driveのモニターだ。ユニットのチルトアングル計、トリムアングル計、ラダーアングル計などがグラフィック表示される。サーフェスドライブユニットのAutoモード/Manualモード切り替えが「Easy Set」ワンタッチで可能となった。サーフェスドライブの革命的な進化だ。

キャプテンシート左には新たにサーフェスドライブでは初めての定点維持装置DPS(Dynamic Positioning System)機能を備えたXentaのジョイスティック、ステアリング上部に前後スラスターのスティック、シート右にフラップスティックとサーフェスドライブユニットのアナログスティックが居並びその前にZFのパワーユニットコントローラ―が位置する。DPSはNaviop-Simrad 100Pのサポートによる。ポート内渋滞や強風時、アンカリング時での効果が期待できる。

南仏プロバンスのカンヌ港沖に出る。夏の終わりの地中海、朝9時。気温25度、南南東風5m。波高1m。一枚グラスのフロントスクリーンを通して見る前方及び左右の視界は直進時にはパノラマミックだ。操船席の頭上のサンルーフは電動でフルオープン。

文:山崎憲治

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