ル・マンのレースにいきなり参戦・・・│1982年の予期せぬ出来事

24時間は 86400秒。しかし、“ル・マン24時間”という場ではそれ以上の何かを感じることができる。忘れることのない、歴史的な瞬間が起こるのだ。小さなエピソードから大きなサクセスストーリーまで、十人十色、喜びや悲しみの感情が24時間の中で交錯する。ル・マン 24時間が開催される時は、いつの時代もレースに魅了された観客一人一人の情熱がひとつとなり、会場を包み込む。そんな瞬間を間近で見て、感じてきた関係者が語るル・マンでの武勇伝をご紹介。

ユルゲン・バルト 元ポルシェ ワークスドライバー

1982年 予期せぬ戦い
 
「私の任務でメインだったのは、プライベートチームとのコンタクト、宿舎や食事、チケットなどの手配全般でした。一方でリザーブドライバーも務めていたので、常にレースに参加できることを願っていました。そしてチャンスは1982年に訪れたのです。当時、アル・ホルベルトとコンビを組み956で出場していたハーレイ・へイウッドが、レース中に胃腸の調子を悪くしたんです。胃腸は彼にとって弱点でしたね。午後11時を過ぎたところで急遽レース参加を求められて、急いでレーシングスーツを着ました。同僚たちの間では、私がハーレイの食べ物に何か入れたのではないかという根も葉もない噂も飛び交っていました。ステアリングを握った状態だと、シートにお尻がうまく入らなかったこともあって、ル・マン参戦の喜びは半減してしまいました。ハーレイもアルも骨が私より細かったんでしょうね。私はシートに斜めに座って、何度も腰の位置を変えたりしながら運転しました。そのレースでは3位入賞を果たしたのですが、まさか自分が日曜日の午後、大観衆の前で表彰台に立っているなんて想像もしていませんでしたよ」

オクタン日本版編集部

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