フェラーリの偉大なるスーパーカー!伝説に残るモデルを一気に試乗比較!

Photography:Matthew Howell


 
とはいえ、私はF40のドライバビリティにいつも感嘆させられる。車重1100kgで、出力470bhpに上るターボV8、そのうえトラクションコントロールがないのだ。たしかに徐々に慣れていき、ブーストが効くタイミングやその強烈さをつかむ必要はある。だが、カウンターステアに自信があり、リアタイヤがトルクの急増に堪えきれなくなる瞬間を感じ取れれば、乗りこなして大きな満足感を味わえる。テストドライバーのダリオ・ベヌッツィとそのチームは素晴らしい仕事をした。事態がエスカレートして制御不能に陥らないよう、限界に至ったらスローダウンするようにしたのだ。
 
まずコーナーを選ぶ。一定の開度で踏み続け、ブーストが利き始めるのを待つ。徐々に切り足していき、リアが流れたらカウンターで抑える。恐怖心さえ抑え込めれば、少し先でブーストが弱まって、常識が通用する世界に戻る。後ろには2本のブラックマークが残っているだろう。通気孔の開いたリアウィンドウからは見えないけれど。
 
F40には皮肉な運命が待っていた。意図したことではなかったが、やがてフルに生かされた。288 GTOは競技のために設計されながらレースに出ることはなかったが、純粋なロードカーとして設計されたF40は、まもなく世界中のスターティンググリッドに付くこととなるのだ。最初、ファクトリーは抗議したが、フランスのフェラーリ代理店社長ダニエル・マランと、エヴォルツィオーネのポテンシャルをフルに活用したかったエンジニアのマテラッツィの圧力に折れた。これを受けて、ファクトリー御用達スペシャリストのミケロットが造り上げたのが、当初F40 LMと呼ばれたモデルだ。LMでは意味が限定的だと考えたファクトリーは、その後コンペティツィオーネに名称を改めた。 

F40 LMには様々なアップグレードが詰め込まれた。その一部が軽量なボディワークと、パンチの効いた700bhp超のエンジン(予選では900bhpに上がったという)である。この大花火を打ち上げる前に、まずはF40 GTでウォームアップをしよう。

編集翻訳:伊東和彦(Mobi-curators Labo. ) Transcreation:Kazuhiko ITO (Mobi-curators Labo.)  原文翻訳:木下 恵 Translation:Megumi KINOSHITA Words:John Barker 

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