ドアもない・・・ホコリまみれで眠っていたポルシェ│発見されるまでの経緯とは

Porsche AG

「見た目もシートの位置も良好。操作性も良く、スポーティな個性をしっかりと持っている」1962年11月9日に書き記されたこの言葉は、ポルシェが生み出した最初の911、つまり901のファーストテストにおいてテストドライブ部門代表が残したものだ。

901の発表から50年以上が経ったある日、ドイツ・ツッフェンハウゼンにあるポルシェ・ミュージアムのワークショップには1964年に誕生した901(300.057)の姿が再びあった。しかし、速く走りそうな雰囲気もない、ましてやドアもないという状態だ。このNo.57は長らく、ガレージで忘れ去られていたのだった。

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ポルシェ・ミュージアム ディレクターは、「まさしく、この車は行方不明になっていた一台です。これで、ポルシェの歴史において大事なモデルがすべて揃います」とコメント。では、なぜドアも取れた状態で放置されていたのだろうか。



あるポルシェ・エンスージアストが、901を所有していた人物から車を購入し、ドライブを存分に楽しんでいた。時は過ぎ、結婚して家族を持った。そうして暮らしているうちに、オーナーにとってポルシェの存在は薄れていき、ガレージの奥へと追い込まれてしまったのだ。そんなオーナーだったが、ある日車を思い出し所有していたもう一台のポルシェと同時にレストアをしようと動き出した。しかし、結局レストアが完成することはなかったのだ。



レストアされるのを待っているこの901を、あるテレビ局が2014年に発見して取り上げた。“古いポルシェに興味があったから”という理由だったが、調査を進めるうちに特別な一台だということが分かった。そして、ポルシェ・ミュージアムに一本の電話をかけた。レジスターやドキュメント類、マッチングナンバーのエンジンはすべて揃っていて、正真正銘の901だとすぐに認められた。間もなくミュージアムが引き取り、徹底的なレストアを始めた。



ポルシェ・ミュージアムは、レストアには長い時間が必要で、およそ1年~2年だろうと想定していたが、結局は3年の月日がかかった。ベルリン警察スポーツ連合のステッカーなど、当時らしいディテールは残されているのも魅力だ。



このNo.57は現在では美しい姿で人々を魅了し、ラリー参加も重ねている。丁寧なレストアを施されたうえ、たくさんの人に復活を祝ってもらい、ハッピーエンドな一台であろう。

 

オクタン日本版編集部

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