Timeless 静かな街で移ろいを感じる、かけがえのない時間。

Photography:Masaya ABE

心がざわついている。ウィークデーはいつも慌ただしく、とくにこの数週間はPC前に張り付いていて、息を吐く暇もなかった。いつものことだが、週末が近づくと心がざわつき、ささくれだってくる。
 
週末に一人の時間を過ごすことを覚えたのは、この車がうちにやってきた5年ほど前だ。夕方、ミントグリーンのフィアット124スパイダーのギアをローに入れて走り出す。エンジン音をBGMに都心の空いた幹線道路を軽く流す。


 
高層ビルが立ち並ぶオフィス街。普段は多くの人が忙しなく行き交うこの街も、休日はとても静かだ。エンジンを切り、ポケットから取り出したプルームの電源ボタンを押す。煙草を吸いながら高層ビルをぼんやり眺めていると、無意識のうちに眉間に入った力が抜け、心が落ち着くのがわかる。何も考えずに過ごすかけがえのない時間。
 
 

本体のLEDが点滅したので新しいカプセルをセットし、再びプルームを吸い込む。煙草は紙巻きから加熱式に変わったが、週末のひとときを過ごすこの場所と車はこれからも変わらないだろう。プルームは匂いが車内や洋服に残らないので、車の中でも気兼ねなく吸えるのがいい。

 
 
1時間ほど経っただろうか。気づけばあたりはすっかり暗くなっていた。プルームをポケットにしまい、セルを回す。太い音が響き、エンジンが再び目を覚ました。

文:高橋 満(ブリッジマン) 写真:阿部昌也 Words:Mitsuru TAKAHASHI(BRIDGE MAN) Photography:Masaya ABE

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