BOSS the Sense of Speed 最先端の技術とセンスを着るということ

Photography:Akira MAEDA(MAETTICO)


 
もう一着のレザージャケットはシンプルなルックスで機能も最小限に抑えられているが、その素材がエシカルレザーを使用しているところがポイント。ヒューゴ ボスのオフィシャルサイトでも宣言されているが、同社のレザーはすべて原皮を得ることを目的とした屠殺は行われていない。むろん、なめしの工程においてもSDGsに準拠した取り組みがなされていることは言うまでもない。


 
さらにこの二つのジャケットに共通するのが洗練されたフィッティングとデザイン。伸縮性に富んだウィンドブレイカーながら、スポーツブランドのそれのようにカジュアルすぎることがなく、一方のレザージャケットはやはり大人が着るに足る落ち着いた雰囲気が漂う。この確固たる技術と、漂うセンスこそがプレミアムブランドとしての真骨頂だ。
 
機能的でエシカルで、スタイリッシュである上に、その製造工程に至るまでクリーン。この難解な取り組みを高いレベルで展開できるブランドであることが理解できると、このコラボレーションがさらに魅力的なものに思えてくるはずだ。
 
繰り返しとなるが、今や自動車産業もアパレル産業も、純粋に速さとファッション性を追求できる時代ではない。それだけに小誌に掲載されるようなクラシックカーがその純粋さにおいて魅力的に映るのは自明の理かもしれない。ただ、これからの未来を考えるとき、または経済活動の一員と自分を位置付けたとき、できれば対価を払って手に入れるものは自身はもちろん環境にとっても快適なものであってほしいというのは正直なところだ。そしてこれこそが次世代のプレミアムマーケットの一員としての新しい条件である。
 
 

ポルシェをはじめ、世界の並み居る名門自動車メーカーがフォーミュラEに参戦するのは自分たちのアイデンティティの延長にあるサステイナブルな将来像を作るための巨大な投資だ。そして既存の価値観の先にある進歩的プレミアム性を探り、提供することをフィロソフィとするヒューゴ ボスのようなブランドにとっても、フォーミュラEに参戦する自動車メーカーとの協業は、それが自身のブランディングに直結するという意味で重要な取り組みだ。
 
ただし、今回のコラボレーションが"自然な流れ"に見えるのはそれだけではない。両社のパートナーシップの実現が、次世代プレミアムマーケットへのアプローチの同質性にあることそその素地である。もっとも大切なのは、両社が理論的でも合理的でもない、人間の感性を大切にしていること。理論や数値では測れない、美しさや心地よさやスタイリッシュさを感じるヒューマンセンスを何よりも大切にしているところだ。
 
「最新こそ最良」であることを課し、理論的かつ合理的モノ作りを貫いてきたポルシェを表現するとき、ジャーナリストはしばしば「ポルシェを着る」などの感覚的表現を使う。その意味を理解できるカーラヴァーはぜひ最新のヒューゴ ボスに袖を通していただきたい。最新こそ最良の意味を肌で感じることができるはずだ。

文、構成:前田陽一郎(CCCクリエイティブ) 写真:前田晃(MAETTICO ) スタイリスト:水野陽介 ヘアメイク:北村達彦 Words&Edit:Yoichiro MAEDA(CCC creative) Photography:Akira MAEDA(MAETTICO) Styling:Yosuke MIZUNO Hair&Make-Up:Tatsuhiko KITAMURA

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