旅する古い車にこそ必要なモノ│最新・高機能なケンウッドのドライブレコーダーを横浜で試す

Photography:Ken TAKAYANAGI


 
テストの舞台は横浜だ。日本大通りに集合して、大桟橋、山下公園、外人墓地、元町を巡る。春と呼ぶには少しだけ早いこの時期、まだ太陽の高さも低い。抜けの良い山下公園や外人墓地界隈、対照的に日陰と日向が交錯する元町界隈を走れば、最新のドライブレコーダーの映像がどれほどのものかよく分かるだろう。高柳カメラマンのメルセデスには後ろについてもらって、フルHDリアカメラの実力とやらも見せてもらおうじゃないか。
 
そんな「上から目線」で走り出して早々、不覚にも最新ドライブレコーダーの機能に助けられた。信号待ちのとき、後ろにつけた高柳カメラマンに気をとられていたら「ポーン!」という音が鳴った。先行車が発進したことを教えてくれたのだ。テスト中はそのような場面には遭遇しなかったが、先行車との衝突の危険がある場合や60km/h以上での車線逸脱に対しても警報が鳴る。あくまでも警報だけだが、先進安全装備なるものがまったくない古い車にはありがたい。それから気に入ったシーンに出くわした時、本体右側の写真ボタンを押せばキャプチャーしてくれるのは便利だと(後で)思った。映像から切り出す手間がないし、別フォルダに格納されるので上書きされる危険もない。
 

大桟橋に向かう交差点。手前の日陰の部分をしっかり残しながら、日差しに照らされた街並みや青空をきれいに描写している点に注目してほしい。HDR の効果がはっきりわかるシーンだ。

小1時間ほど横浜を走り回って、撮影した映像をチェックする。スペックから予想はしていたものの、その映像の美しさはやはりさすがだった。13インチのパソコンの画面に映し出された横浜の風景は、家庭用のビデオカメラで撮影したものと、解像力はもちろん、描写力の点でも遜色がない。そして順光でも逆光でも、日陰から日向へと移り変わる区間であっても、HDR 機能を搭載しており、コントラストの調整が適切で、青空や街並みのカラフルな美しさがしっかりと表現されていた。このあたりはビデオカメラの経験が長いJVC ケンウッドへの期待を裏切らない。リアカメラの映像、画像も当然だがフロントと同様の美しいものだった。


リアカメラで撮影した元町の商店街を走る高柳カメラマンのメルセデス。こちらも光と影が交差する表現の難しい場面だが、バランスの良い絵作りができている。四隅をトリミングすれば広角レンズで撮ったとは思えない写真に見せることも可能だ。もちろん煽り運転する車のナンバーもバッチリ映る。
 
ドライブレコーダー用なので特にフロントレンズは水平約122 °垂直約63 °対角約150 °という超広角。四隅はやはり超広角らしい絵になるが、そこを避けてトリミングすれば画像としてもまったく問題ない。F値1.8という素敵な光学性能をもつ単焦点レンズを通した美しい写真として、友人への贈り物レベルになる。なにしろ画像サイズは1枚3MB 前後、十分だ。ちなみにあまり期待していなかった「音」についても、2CV 独特のエンジン音とギアの駆動音が、車内で聞くのと同じように再現されていたことを報告しておきたい。
 
ファニーな見た目だからなのだろうか、602ccエンジンの2CVは人が思うより速いからなのだろうか、2CVに乗っていて煽り運転に出くわしたことはほとんどない。とはいえ、万が一の事故に備えてドライブレコーダーの存在は心強い。加えて、美しい映像や画像まで付いてくるのであれば、そしてあなたが筆者と同じ「車で旅するのが好きな派」であるなら、もうドライブレコーダーをつけない理由はないのではなかろうか。いまは何も刺さっていないアクセサリーソケットを眺めながら、そう思う筆者なのである。



KENWOOD DRV-MR 745
「DRV-MR745」はナビ連動型ではなくスタンドアローン型、前後カメラ付きの最新モデル。本文にあるようにカメラは前後ともF1.8のレンズでフルハイビジョン(1920×1080)記録が可能。付属のmicro SDHCは32GBの大容量となり2カメラにもかかわらず長時間録画を実現している。価格はオープン。



馬弓良輔
1966年横浜市出身。「じゃらん」副編集長、「エイビーロード」編集長などを経て、2005年から2009年まで「カーセンサー」編集長。その後、楽天市場自動車ジャンル責任者、オクタン日本版副編集長などを務めたのち独立。現在も自動車や旅行メディアの編集者として活躍中。


https://www.kenwood.com/jp/info/

文:馬弓 良輔 写真:高柳 健 Words:Yoshisuke MAYUMI Photography:Ken TAKAYANAGI

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