ひと味違うクラシックライフを│究極バージョンのマセラティ ビトゥルボ

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グラントゥーリズモの製造が終了し、マセラティの4シーター・クーペの将来は今のところ明らかになっていない。そこで自然に目が向くのが過去のモデルだ。なかでもビトゥルボは長年にわたって肩身の狭い思いをしてきたが、その最高性能版が、このところ魅力的に見え始めた。
 
V8のシャマルが登場するまで、ビトゥルボシリーズ最後の究極バージョンだったのが222レーシングだ。2リッターの4バルブV6エンジンは、軽量クランクシャフトや鍛造ピストン、新コンロッド、高めの圧縮比などでアップグレードされていた。
 
加えてターボのモディファイと、マニエッティ・マレリのエンジンとブーストのマネージメントシステムにより、出力は283bhpに向上。2リッターで最もパワフルな市販車とマセラティは謳っていた。ほかにゲトラグ製5段MTも改良され、リミテッド・スリップ・ディファレンシャルを備えた。
 
レーシングは1991年に登場。0-62mph加速は6秒を切り、最高速は159mphに達した。製造はわずか230台で、すべてイタリア国内で販売され、色は赤か黒だ。今も滅多に見つからないが、その1台がオランダのイタリア車スペシャリスト、ウィムプリンスのクラシック部門で販売されている。


 
レーシングには、少数の高級イタリア車と同様に、電動で調整できるコニ製ダンパーが使われている。この1台は、それが正しい仕様でリビルドされ、完璧に動作するのがポイントだ。
 
オドメーターは11万2593kmを指す。整備歴と所有歴が明確で、クラシック・マセラティを買う人の理想通りだという。入念なメンテナンスを施してきた前オーナーは、次のオーナーにこんなアドバイスをしている。「温まるまではエンジンを優しく扱い、走行後はターボを冷却して、98オクタンだけを給油すること」とは、どれも不可欠なアドバイスであり、大切にしてきた証しだ。


 
2004年にオランダに輸入されて以来、オランダのマセラティ・スペシャリストのオート・フォルツァでケアを受けてきた。2009年に再塗装し、2015年にはフロントガラスを新品に交換。空調も文句なしのコンディションだという。


 
この時代のマセラティは、もう少し頑丈なドイツ車や日本車に比べると、スペシャリストによるメンテナンスが少々必要だ。とはいえ敬意をもって扱えば、222は素晴らしい形で応えてくれる。ひと味違うクラシックライフを楽しめるはずだ。

編集翻訳:伊東和彦(Mobi-curators Labo. ) 原文翻訳:木下 恵 Transcreation:Kazuhiko ITO (Mobi-curators Labo.) Translation:Megumi KINOSHITA

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