現存最古の銃器メーカー ベレッタ│本社に車とバイクが置かれている意味は?

Photography: Tomonari SAKURAI

現存する中で最古のイタリアン銃器メーカー、ピエトロ・ベレッタ。公式には1680年創業とあるが、1526年の文章ですでにベレッタに発注した記録が残っている。ベレッタの銃といえば日本でも競技用や狩猟用の散弾銃が人気だ。映画の世界で登場するM92と言うピストルはアメリカ軍が正式採用していた銃でもあり、実は日本の一部の警察にも納入されている。オクタンの記事になんで銃の話し?と思われるかもしれないが、車好きな方の多くに銃好きの方も多かったりするのだ。


最新のサブマシンガンPMXの射撃をするのはイタリア陸軍元特殊部隊のルカ。彼も車バイクが大好き。ランチアとドゥカティのオーナーだ。


このベレッタの本社のあるのはガルドーネ・ヴァル・トロンピアという街。刃物といえば、境というようにこの町はその昔から銃のメーカーがひしめき合う街で、今でもその部品供給メーカーも入れると140以上もの大小の会社がある。アルプス山脈から流れるメッラ川の水力を使って工業が発展したともいわれている。この町は北イタリア、ブレシア県にある。ブレシアと言えばミッレ ミリアのスタート地点だ。そして、ベレッタの現社長フランコ・ベレッタ氏は大のヴィンテージカーマニア。それが高じてミッレ ミリアの会長に就任したのが数年前のこと。


現社長のフランコ社長(Franco Gussalli Beretta)


「今はミッレ ミリアといえばヴィンテージカーのイベントだが、その当時は最新のマシンが争っていた。今ミッレミリアは原点に戻ろうとしている。そこで最新のマシン、電動や他のガソリンエンジンに代わる新世代のエンジンを持つ車による無公害のレース、ミッレ ミリア・グリーンを企画中だ」とフランコ社長は語ってくれた。
 
そんなベレッタ本社には車とバイクが置かれたところがある。見慣れない車。”BBC”とあるかわいらしい車だ。実は第二次大戦後すぐににベレッタは車を売り出そうとしていた。ベレッタグループのひとつ、ベネリはショットガンで有名だが、やはり150年代にはイタリアを代表するオートバイメーカーでもあった。そのエンジン技術を利用して設計されたのがこのBBCというわけだ。FFで530cc2気筒エンジン。2ドアで5人乗り。なぜか右ハンドル。プロトタイプは3台作られ、その1台がベレッタの本社に保管されている。


台作られたプロトタイプの一台。BBC(デザイナーの3人Giuseppe Beretta, Giuseppe Benelli, Luigi Castelbarcoのイニシャルから)が置かれている本社の一角。奥に見えるのはシボレー・ベレッタ。商標でシボレーを訴えたときの記念品か?
 

また同じ場所には小型のオートバイが一緒に保管されているがこちらはMIVAL。イタリアの小型オートバイメーカーだったがベレッタに吸収された。なのでベレッタのひとつの遺産ということらしい。残念ながらこのBBCが量産体制に入る前にフィアットなど他のイタリアメーカーが立ち直り、すでにその時代の競争力はないと判断し断念したのだった。
 
ご存じのように、現在イタリアは恐ろしい状況になっている。それも始まりは北イタリアからだ。ベレッタの友人は無事の知らせが入っているがまだ先の見えない状況。それは日本も同じであろう。

写真&文:櫻井朋成 Photography&words: Tomonari SAKURAI

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