10日間でケニアからタンザニアへ│1986年以前に生産された車が挑む過酷なラリー!

Porsche AG

イーストアフリカン・サファリ・クラシック・ラリー(East African Safari Classic Rally)が終わり、その足で「タットヒル・ポルシェ(Tuthill Porsche)」を訪れた。

寒い冬の朝、オックスフォードシャー州・ワーディントンは、大きなコンテナトラックが駆ける音で目を覚ました。コンテナトラックは生垣を抜け、わらぶき小屋をすり抜けながら、小道を通り、険しい坂道を登っていく。何台ものコンテナトラックが、数分間隔で駆けていく。その内の一台は、ぼろぼろのシルバーのコンテナを載せており、そのコンテナの側面には911のイラストが描かれており、その下には「タットヒル・ポルシェ(Tuthill Porsche)」とはっきりと書かれている。

クラシックポルシェモータースポーツのエンスージアストの中でも、特にラリー愛好家にとって、タットヒルというのは一度は聞いたことがある名前だろう。1970年代後半から356や911を専門に活動を続けるプライベーターである。小さなチームだったが、その後レーシングチーム・プロドライブと契約を結び、WRCに参戦するための911 SC RSのボディシェル製作を勝ち取るまでに成長する。それ以来、会社の規模は好評判が広まるとともに大きく成長し、空冷911においては誰もが認める専門家集団となった。



その日到着した6台のコンテナの中には、熱い盛り上がりを見せたイーストアフリカン・サファリ・ラリー・クラシックにおいて、通算4度目の優勝を飾ったばかりのタットヒル・ポルシェのラリーカーや資材が収められていた。12mほどあるその6台のコンテナは、クリスマス前に、アフリカから輸送された。コンテナのドアが開くや否や、アフリカで死闘を繰り広げた車両たちが姿を現す。アフリカの大地を9日間駆け抜けたタイヤ、ホイールやデトリタス。赤いケニアの土埃にまみれ、壊れた部分をテープで補修されたポルシェ達。一部部品を失った車両もあるが、そこにはまだ鮮やかにラリーを生還した車両たちの輝きが残っていた。

イーストアフリカン・サファリ・クラシックは、30年にわたりWRCの一環として開催されてきたが、今日では完全にプライベートなイベントとなった。参加車両は1986年以前に製造された車両に限定され、ケニアとタンザニア間の数千kmに及ぶ荒野を駆けるレースだ。猛暑と湿気に覆われた広大な大地を、ドライバーとチームは遠隔で連絡を取り合いながら駆けるのは非常にチャレンジングでエキサイティングであるのと同時に、非常に困難であるというのは言うまでもなく、リチャード・タットヒルカンパニーにとっても、避けては通れない問題だ。

リチャードとは、最初のコンテナを開くタイミングで会うことができた。2か月もの間、日の光を浴びることなく過ごした車両を、1台1台検査していくのだ。今回タットヒル・ポルシェは、10台のクラシックポルシェをアフリカへ輸送し、その内8台が生還した。タットヒルがラリーに参加させた主力車両は、半世紀以前に製造された、911のGシリーズだった。3.0リッター自然吸気フラット6に、915型マニュアルトランスミッションが組み合わされている車両だ。これらは本物の“クラシック”であり、ほとんどのオーナーであれば、週末のドライブを楽しむことすら難しい車両だ。



ラリーに10台の車両で参加するということは、1台あたり3名のメカニック、更にサポートスタッフ、マネージメントスタッフ、エンジニア、医師等を併せると、合計で40名から50名ほどのスタッフが帯同することになる。途中、1日の休憩日を含めて、10日、この人数が走り続けるのだから、驚きである。

リチャードは、「10台それぞれを、個別のチームとしてみています」と語る。「1車両に1台のコンテナが付いており、その中にはタイヤとホイールを除くすべてのものが収められており、ジャッキ、スタンド、ジェリー缶、ギアボックス等、ラリーを走り抜けるのに必要な備品全てが含まれているという。先ほど見た、いわゆるマザーシップのコンテナさらに収納力が高く、毎晩メカニックが備品の不足を補っているそうだ。このスペアパーツの総額は1台あたり100,000ユーロほどだというから驚きである。


様々なトラブルも・・・次回へ続く

 

オクタン日本版編集部

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