ベントレー・ミュルザンヌに携わった職人インタビュー│ウッドショップ担当とエンジン担当にも

Bentley motors

ベントレーのフラッグシップモデルとして約10年の歳月を経たミュルザンヌは間もなく生産を終了し、新型フライングスパーにその役割を譲る。

ミュルザンヌの生産はこの4月に終了する予定だったが、COVID-19による危機的状況が終息した後、ベントレーの従業員がクルー工場に戻ってから最後の車両を手作業で生産できるようにするため、生産期間を延長した。ミュルザンヌは、「ミュルザンヌ メーカーズ」と呼ばれる製造に携わる職人たちの手を経て、7300台以上のミュルザンヌが送り出されてきた。

ミュルザンヌ メーカーズには、ミュルザンヌを象徴するあらゆるスキルが求められており、伝統的な技能や素材を使用した車の開発、販売することに関して他に類を見ないほど熱心に取り組み、ラグジュアリーとパフォーマンスの究極の組み合わせとしてその頂点を極めている。ここでは、ベントレーで活躍したウッドショップ担当とエンジン担当をご紹介する。彼らは、ミュルザンヌを、その設計図面から現実の車に創り上げた何百人もの人々のスナップショットであり、ベントレーが生産を再開した後も、この傑出したモデルの最後の生産現場で手作業を続ける人々である。


ジョン・フィッシャー 木工(ウッドショップ)担当

ジョンはベントレーに長く在籍する従業員の1人であり、ウッドショップ(木工部門)勤務を経て、現在は同部門の責任者になっている。業界をリードするベントレーのウッド・インテリア・フィニッシュを支えるべニヤやハンドクラフトの技術について、ジョンが知らないことはない。彼はミュルザンヌでの経験を基にベントレーのウッドショップを率い、その知識を、これから見習いとしてウッドショップでキャリアをスタートさせる者たちに伝えているのだ。



「発売以来、ミュルザンヌのウッドコンポーネントに取り組んできましたので、私にとって、ミュルザンヌは個人的に意味のあるつながりを持つベントレーです。以前はウッドショップのプロダクション・マネジャーとして、ミュルザンヌのインテリアの中心的な存在であるドライバーと乗員を包み込むような「リング・オブ・ウッド(木の輪)」を実現するのに必要な多くの手作業工程の計画および実作業を担当していました。最高級の天然素材を使用し、他に類を見ないほどの配慮と注意を払って作られた真の芸術品です。"私にとって個人的に最も印象深い業務は、工場を訪れたお客様とお車の仕様を決める作業です。お客様は、すべてのベントレーを唯一の存在にしているディテール、複雑さ、手作業の職人技に心を奪われるのです」


ティム・サイペル エンジン担当
ティムは、ミュルザンヌの象徴ともいえる「L シリーズ」のリッター エンジン(彼の指揮下でベントレー アルナージやブルックランズにも搭載)の開発に携わってきた豊富な経験を持っている。フォルクスワーゲングループ初の製品として気筒休止システムを開発したティムは、ミュルザンヌが確立した基準への道を開くために貢献した。現在はベントレーのすべてのエンジンのエンジン・キャリブレーションを管理しており、ティムの専門知識は受け継がれてゆく。



「私たち皆が知っているミュルザンヌの定義づくりに大きな貢献ができたことを、とても誇りに思っています。ミュルザンヌは、私が2005年に入社した後、ベントレーで開発に携わった最初の新型車でした。私にとってミュルザンヌは究極のベントレーを定義づけた車であり、クラシックなベントレーを特別な存在にしたあらゆる属性を現代的に解釈し直した車です。その属性の大部分は私たちの特徴的なエンジンが占めており、現代のすべての排出ガス基準を満たすよう全く新たに設計されたこのエンジンは、ベントレーの象徴と言える『ウェーブ・オブ・トルク(トルクの波)』を実現したエンジンです。そのため、6.75 V8との別れは、私にとって物悲しい想いがあります。このエンジンは、1959年に初めて生産が始まった『L シリーズ』の真のアイコンです。私は、長年にわたりこのエンジンを開発し、洗練させてきたチームの一員でしたが、このエンジンは本当に惜しまれることでしょう。私たちは、8気筒のそれぞれにベントレーの心と魂を込めてきました」

オクタン日本版編集部

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