35年を経たセナ vs ラウダ│メルセデス・ベンツの「ザ・リターンマッチ」

Photography:Dino Eisele/Mercedes-Benz


ここで少し歴史を振り返り、190コスワースに対する理解を深めることにしよう。

「メルセデス・ベンツがコンパクトクラスに関する検討を最初におこなったのは1970年代のことで、W201は1982年に発表されました」と、メルセデス・ベンツ・クラシックのゲルハルト・ハイドブリンクが解説してくれた。その目的のひとつに、アメリカで導入されたCAFE(企業平均燃費規制)をクリアすることがあったという。また、若年層の顧客にアピールする狙いもあったようだ。こうした検討を経て誕生した190Eは、100psを少し超える4気筒の燃料噴射式ガソリン・エンジンを搭載してデビューしたが、もう少し派手な話題を必要としていたのも事実である。「そこでスポーティ・バージョンの開発に取り組むことになりました。そして私たちは、コスワースにエンジンの開発を委託したのです」とゲルハルトは語る。

コスワースは当初ラリーへの出場を想定して最高出力320bhpのエンジンを開発するつもりだった。WRCで活躍するアウディ・クワトロの存在もメルセデスが190Eを開発するきっかけのひとつであった。ただし、メルセデスはラリーに出場することなく、ドイツ・ツーリングカー選手権(DTM)への挑戦を決定。そのホモロゲーション取得に必要なロードカーの開発に着手することになる。

後編に続く)

編集翻訳:大谷達也 Transcreation:Tatsuya OTANI Words:Glen Waddington Photography:Dino Eisele/Mercedes-Benz

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