レース・オブ・チャンピオンズ│レジェンドが駆ったメルセデス・ベンツに試乗

Photography:Dino Eisele/Mercedes-Benz


 
この20人のなかには9人の歴代F1チャンピオン、ジャック・ブラバム、フィル・ヒル、ジョン・サーティーズ、デニス・ハルム、ジェイムズ・ハント、ジョディー・シェクター、アラン・ジョーンズ、ケケ・ロズベルグ、そしてラウダが名を連ねていた。彼らとともに出場したのがアラン・プロストとアイルトン・セナで、このふたりが後にF1チャンピオンの仲間入りを果たしたことはご存じのとおりである。

さらにはスターリング・モス、ジョン・ワトソン、クラウス・ルードヴィッヒ、カルロス・ロイテマン、ジャック・ラフィー、エリオ・デ・アンジェリスらもエントリーした。このなかでもっとも若いのがセナで、F1出場経験はトールマンからのわずか4戦のみだった。それだけに、このレースに期するところは大きかったといえる。ちなみに、セナが雨のモナコGPを2位でフィニッシュする伝説的なレースが開催されたのは、レース・オブ・チャンピオンズの数週間後のことだった。

 
レースで使用された車両はすべて通常の生産ラインでアッセンブリーされたもので、プロジェクト・エンジニアのゲルハルト・レプラーらがおこなったことといえば、レース用バケットシート、フルハーネス、ロールケージの装着にくわえて、車高を低くしてファイナルのギアレシオを下げただけだった。 

レースではモスがポールでブラバムが2番グリッド。1周目が終わったところでロイテマンがトップに立ち、2番手はジョーンズで、このとき11番手スタートのセナが早々と3番手につけていた。さらに激しい追い上げを見せたのがラウダで、17番グリッドからなんと4番手まで浮上していたのである。3周目にはセナが首位に立ち、ロイテマンとラウダがこれを追う展開となる。間もなくラウダが2番手に上がると、残りの12周はこのオーダーのままレースは進行してセナが優勝。2位はラウダでロイテマンが3位だった。これこそ、ビッグネームを相手にセナが栄冠を掴んだ最初のレースだったといえる。そしてこれは190Eにとっても最初の優勝だった。
 
セナが操ったNo.11の190コスワースは、それ以来、まったく変わっていない。ドライビングシートに腰を下ろすと、標準装備のベッカー・グランプリ・ラジオ、ゼブラノのコンソール・トリムなどが目に入った。リアシートに取り付けたタクシー・ランプのスイッチもそのまま残されている。

編集翻訳:大谷達也 Transcreation:Tatsuya OTANI Words:Glen Waddington Photography:Dino Eisele/Mercedes-Benz

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