「101年目のシトロエン試乗記 その1」 ベルランゴは現代の2CVかもしれない



光が降り注ぐ明るくカジュアルなインテリア

この車の見所の一つはインテリアの明るさだろう。光を呼び込む大きなグラスサンルーフには「モジュトップ」と呼ぶ、非常に個性的なデザインの多機能ルーフストレージが組み合わされている。このストレージのセンター部分は半透明なので、ここからも間接光が入ってくる。さらに低く抑えられたダッシュボードも、ベルランゴの明るいインテリアに寄与している。

このインテリアを見てカングーを購入する時に初代C4ピカソと最後まで迷ったことを思い出した。スライドドアを望むヨメさんの声に押されて、結局カングーが我が家にやってくることになったものの、フロントウインドウ上端が大きいC4ピカソの、その室内の明るさは忘れがたい魅力だったからだ。



カジュアルなデザインということで得をしている部分もあるが、質感という点でもベルランゴのインテリアは善戦している。特に水色のラインが利いた黒とグレーのシートが効果的だ。少々慣れは必要だがダイヤルタイプのシフトセレクターも目新しい。「Apple CarPlay」や「Android Auto」対応のディスプレイオーディオもいかにも現代的だ。



ダッシュボードなどには細かなドットが散りばめられた、マーブル模様というか他ではあまり見たことのない模様が入っている。このあたりもカジュアルといわれればそんな気もする。最初はホコリかと思ったことは黙っておこう。

ただ、ドアの内張などに使われている一部の樹脂の見た目は今ひとつと言わざるを得ない。外から見るとかっこいいBピラーのキックしている部分が室内からだとピラーの裏側が丸見えなのもちょっとどうだろうと思った。

期待を裏切らなかったシート


初代にしても2代目にしてもカングーのシートは表面が柔らかい。それに比べるとベルランゴのシートはしっかりとした座り心地だ。前後と高さ、リクライニング、ランバーサポート(運転席のみ)と、シートの調整項目は多くはない。しかし、ほんの少しペダル類がセンター寄りかなということ以外にドライブビングポジションに不満はないし、長時間運転してもお尻や腰が痛くならなかったのは期待通りだった。



リアシートはスライドこそしないが十分な足元スペースがあり、加えて前席シート下へも足が入れやすい。例によって3人分が均等に分割されており、真ん中に座る人への配慮が嬉しいが、左右に座る人にとっては余裕のある幅ではないことには注意が必要だ。



ちょっと変わったところではリア用のドリンクホルダーがシート後方にある。フロントシート背面には後席用の折りたたみ式テーブルが備わっている。いかにもドリンクホルダーに使えそうな穴が空いているが、ペットボトルが入らないサイズなのは他の欧州車と同様だ。

文・写真:馬弓良輔 Words & Photography: Yoshisuke MAYUMI

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