「101年目のシトロエン試乗記 その2」 C5エアクロスSUV シトロエンによる新しいコンフォートの定義

Photography:Yoshisuke MAYUMI



遊び心に上質さが加わった内外装


実際のサイズ以上にボリューム感のあるデザインにもかかわらず、C5エアクロスSUVにはSUVらしい遊び心を感じる。それは巧みなディテールの貢献が大きい。特に新世代デザインの共通モチーフであるエアバンプや、フロントバンパー、ルーフレールにあしらわれた差し色が効いている。このアクセントカラーは試乗車のようなガンメタやホワイトは赤色に、ブラックとブルー、そしてレッドは銀色となる。



サイドウィンドウ周りにはCに見えるクロームが巻かれ上級車種らしい風格を漂わせてはいるものの、全体的な印象はアクティブで遊び心のあるSUVだ。プレミアムブランドのSUVのような高級・ラグジュアリー方向に持っていかなかったのは、シトロエンというブランドの立ち位置を考えると正解だろう。
 





内装もC4カクタスから続く新世代デザインの品の良いカジュアルさを受け継いでいる。特に試乗車はブラウンのナッパーレザー仕様だったのでカクタスとの近似性をより感じた。細かい部分でもダッシュボードやアームレストに配されたステッチ、ドア内装パネルやシートのデザインモチーフなど、最近のシトロエンの世界観に忠実だ。そしてC3やベルランゴに比べると全体的な仕立てにずいぶん上質さを増している。


シトロエンらしいシートとSUVらしい使い勝手


前述のCitroën Advanced Comfortプログラムに則って開発されたシートは表面がしっとり柔らかいが基本的にはしっかりとした座り心地だ。シトロエンというとソファーのようなフカフカのシート、というイメージがある方も多いかもしれない。確かにDSから初期のBXあたりまではそのイメージ通りだが、エグザンティアあたりからのシートは座り心地が比較的しっかりとしている。最近のシトロエンのなかでもC4カクタスが例外的に柔らかかったが、C3、グランドC4スペースツアラー、ベルランゴ、そしてこのC5エアクロスSUVはそこまでではない。ただし一般的な基準と比べれば柔らかい部類であり、長距離でも疲れない美点はきちんと受け継いでいる。
 





 
SUVらしく着座位置の高いリアシートも最近のシトロエンの流儀に則って独立した3座3分割可倒式である。リアシートにはスライド機構があるが国産ミニバンのように足を伸ばせるほどには下がらない。リアシートを一番後ろにした状態でも十分すぎる容量のあるラゲッジルームの、さらなる拡大用と捉えた方が適切だ。5段階に調整可能なリクライニングも19°から26.5°までと控えめではあるが、安全性と快適さの落としどころとしてはこのあたりで良いのではないだろうか。



ボビンメーター表示もできるフルデジタルのインパネや、ナビ、オーディオ、空調などの操作を行うタッチパネル式ディスプレイ&タッチ式スイッチなど、最新デジタルテクノロジーも盛りだくさんだ。もちろん先進安全装備も全車速追従型ACCに加えて新機軸のレーンポジショニングアシストなど抜かりはない。

しかしインテリアで気になった点もある。空調のAUTOが3段階で設定できるのは良いアイデアだが、空調の風量や温度切り替えはいったん空調画面を呼び出さなければならず、その点は少々煩わしい。例によって日本仕様のナビが現在位置を表示するのに指2本同時タッチをしないとメニューが出てこないことも最初は戸惑うだろう。

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