スティーブ・マックイーンも所有していたフェラーリ│「幸せな車」だった10177GT

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1967年フェラーリ275GTB/4は1966年のパリ・サロンで初めて世に出た車である。350台が生産され、そのうちイギリス市場に供給されたのは、たったの27台である。フェラーリのロードカーとして初めてDOHCエンジンを採用したことと、それ以上に1960 年代における最高のオールラウンドGTカーとして広く知られるフェラーリ275GTB/4は、アストンマーティン、マセラティ、ジャガー、ランボルギーニといった並みいるライバルたちを寄せつけない人気を誇った。当時のオーナーズリストには、あのスティーブ・マックイーンも名を連ねている。
 
今回紹介するシャシーナンバー"10177GT"は、イギリスのフェラーリディーラーであるマラネロ・コンセッショナリーズのデモカーだった車である。コルトン氏は、1974年にヴィンティッジ・ベントレーのスピード・シックスと交換することで"10177GT"を手に入れている。この車もまた、彼によってイギリスはもちろん、ヨーロッパ全土へと広くドライブに連れ出されている。12万km以上を示しているものの、フェラーリ社のスペシャリスト達によって定期的にメンテナンスを受けてきた幸せな車である。
 
2台のフェラーリのオーナーだった故リチャード・コルトン氏は、イギリス・ノーサンプトンシャー州の実業家で、フットウェアの流通において成功を収めた人物である。同時にフェラーリ・オーナーズ・クラブのV12気筒部門の有名なメンバーでもあり、40年間以上にわたり250LM、250GTルッソ、365GTB/4デイトナ、そしてディーノといったフェラーリを所有してきた。一方で彼は海難救助にも深い理解を示し、イギリスとアイルランド沿岸付近海での人命救助を行う慈善団体、ロイヤル・ナショナル・ライフボート・インスティテューション(RNLI)へ自身の遺産を寄付することを望んだ。RNLIで遺産管理を務めるガイ・ローズ氏は、「私達のボランティアクルーや彼らに助けられた人々が、コルトン氏の寛大さを最も実感することになるでしょう」と語っている。

オクタン日本版編集部

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