「210mphでも片手でのんびり走れた」素晴らしい車だったとレーサーが語るフォードGT40

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クリス・エイモンはF1で味わった数々の不運で有名だが、1966年のル・マンでは思いがけず勝利を手にした。エイモンがその思い出を語る。

クリス・エイモンはフォードGT40で一度しか優勝していない。それが結局はキャリア最大の勝利となった。


「ル・マン優勝は、時とともに私の中で重要性を増していったように思う。F1では目指していたものをつかめなかったからだ。他のなによりもあの勝利で私は記憶されるのだろうね。妻は時々、デニー(ハルム・故人)の細君と顔を合わせるが、50年たってもまだぶつぶつ言われるそうだ」とエイモンは話す。
 
前年の1965年のル・マンでは真新しいGTマークⅡを託された。「あの車はストレートで落ち着きがなかった」とエイモンは振り返る。フリー走行中に、チンスポイラーやノーズカナード、テールフィン、リアスポイラーを付けて抑え込んだ。

「私はタイヤマークを黒々と残して先頭で飛び出したが、ミュルザンヌでブルース(マクラーレン)にスリップストリームを使って抜かれた。ストレートエンドでミラーを見たら、一番近いフェラーリが300か400ヤードも離れていたよ。私たちが壊れなければ、誰にも捕まえられなかっただろう」しかし、マークⅡは全車リタイアに終わった。
 
1966年のル・マンでは、大きく改良されたマークⅡ Aが無敵の強さを誇った。「ドラッグは増えたが、安定性は大きく向上した。210mphでも片手でのんびり走れたよ。ふらつくことは決してなかった」優勝したル・マンがエイモンにとってフォードでの最後のレースとなった。翌年、フェラーリ330 P4でデイトナ優勝を飾ったエイモンは、レース後にこう話していた。「これに比べたらフォード・マークⅡはトラックだ」と。
 
しかし、今はもう少し寛大だ。「マークⅡは素晴らしい車だった。ル・マンのようなサーキットでは特にね。まったく敏捷ではなかったけれど、高速コーナーが抜群で。非常に安定していた」そして何といっても勝者だったのだ。

編集翻訳:伊東 和彦(Mobi-curators Labo.) Transcreation: Kazuhiko ITO( Mobi-curators Labo.) 原文翻訳:木下 恵 Translation: Megumi KINOSHITA Words: Preston Lerner and John Simister

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