市販するにはアバンギャルドすぎた ?! │今では「最も美しくエレガントなアルファロメオ」に

Photography:Thomas Macabelli

これは、高名なイタリアのコレクター、コラード・ロプレストが所有する11台のアルファロメオ・ジュリエッタの話である。1台残らずすべて歴史的価値の高い貴重なコレクションについて、マッシモ・デルボが話を聞いた。今回はアルファロメオ・ジュリエッタ・スプリント・スペチアーレ・ベルトーネ・プロトティーポをご紹介。

1957年 アルファロメオ・ジュリエッタ・スプリント・スペチアーレ・ベルトーネ・プロトティーポ
1953年と1955年、フランコ・スカリオーネはカロッツェリア・ベルトーネのために、名高いベルリネッタ・アエロディナミカ・テクニカ(BAT)をデザインした。ジュリエッタ・スプリント・スペチアーレ(SS)のプロジェクトは、それと直接つながっている。写真のオーダーナンバー8700もスカリオーネのデザインだ。シャシーナンバー00001 をベースに造られ、プロトタイプとして1957年のトリノ・ショーで披露された。


スプリント・スペチアーレと名付けられたものの、量産するにはアバンギャルドすぎるとして見直され、翌年にジュネーヴで2台目(シャシーナンバー00002)が発表され、さらに3台目を経て最終形となった。SSでアロイボディなのはプロトタイプの3台のみだ。1959年から量産が始まると、SSは史上最も美しいアルファとして高く評価された。
 
このプロトタイプは、1960年に標準のSSとして売却された。Certificato d’Origine(生産証明書)の日付は1960年7月18日で、正式な製造日は1960年6月15日とある。1980年代中頃にアメリカに渡り、数人のオーナーを経て、2010年にロプレストが購入してイタリアに戻った。ロプレストはこう話す。

「このプロトタイプの重要性はほとんど説明の必要がないでしょう。これこそ、アルファロメオを代表するデザインの最初のコンセプトであり、唯一フランコ・スカリオーネのコンセプトを純粋に示す、BATシリーズの直系の子孫です。信じられないことに、歴史的な1台にもかかわらず、1960年代には頻繁に使用されてレースにも出走したが、幸いにも、一度もクラッシュしませんでした。私たちが購入したときにはフルレストアを必要としていたものの、ほぼオリジナルの状態を留めていました」



「助けになったのが、当時撮影された多くの写真でした。この車は、1957年11月の『Auto Italiana』誌と翌年3月の『Speed Age』誌の表紙に登場しています。プロトタイプだけに、最終的な量産バージョンより長く、空力が重視されているなど、ボディの相違点が多いから、当時の写真はレストアの際に計り知れない価値があります。この車には2017年にも驚かされました。レストアから何年もたち、その前年にはペブルビーチをクラス3位で終えて、"最もエレガントなクローズドカー"として特別賞も獲得していましたが、その年のヴィラ・デステではベスト・イン・ショーに輝いたのです」

編集翻訳:伊東和彦(Mobi-curators Labo. ) Transcreation:Kazuhiko ITO (Mobi-curators Labo.)  原文翻訳:木下 恵 Translation:Megumi KINOSHITA Words:Massimo Delbò Photography:Thomas Macabelli Thanks to:Swiss Museum of Transport Lucerne, www.verkehrshaus.ch, Serenella Ar

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