レース用に構想されたアルファロメオ│発見したときのままで残す意味とは

これは、高名なイタリアのコレクター、コラード・ロプレストが所有する11台のアルファロメオ・ジュリエッタの話である。1台残らずすべて歴史的価値の高い貴重なコレクションについて、マッシモ・デルボが話を聞いた。今回はジュリエッタ・スパイダー・ピニン・ファリーナ"コルサ"をご紹介。

1955年 アルファロメオ・ジュリエッタ・スパイダー・ピニン・ファリーナ"コルサ"
このジュリエッタ・スパイダーは最初からレース用として構想された。レースではオープンバージョンがあまり選ばれなかったが、理由は単純にスプリントの戦闘力が高かったからだ。写真のスパイダーはシャシーナンバー15で、プリプロダクションカーとしては後期にあたるが、市販型との相違点もいくつかある。オリジナルは白色で、すぐにアメリカに渡り、マックス・ホフマンに納車された最初の数台となった。



これを購入したジム・ローレンスは、赤に塗り直すと、SCCA主催のレースに出走する準備を整えた。
 
数年前にイタリアに戻ってきたが、ロプレストは発見したときのままにしている。「この車を見るたびに頭の中を謎が駆けめぐります。私が購入した理由はシャシーナンバーが若かったからで、実際に、16台しかないプリプロダクションの貴重な生き残りであるからです。だが私たちの努力もむなしく、ヒストリーの大部分は今のところ未解明です。赤いペイントの下にオリジナルの白色を確認できましたし、古いナンバーのステッカーも残っています。ところが、ジム・ローレンスがどんな人物なのかほとんど分かっていので、発見した状態のまま維持することにしたのです。そうすれば、歴史的に重要な部分をレストアの最中に消してしまうといった間違いを避けられますから」


11台のアルファロメオ・ジュリエッタ(順次記事追加)
1955年 ジュリエッタ・スパイダー・ベルトーネ
1957年 アルファロメオ・ジュリエッタ・スプリント・スペチアーレ・ベルトーネ・プロトティーポ
1956年 ジュリエッタ・スプリント・ルッソ (エラボラツィオーネ・スペチアーレ・ベルトーネ)
1955年 アルファロメオ・ジュリエッタ・スパイダー・ピニン・ファリーナ・プロトティーポ
1961年 アルファロメオ・ジュリエッタSZ"コーダトロンカ"プロトティーポ
・1955年 アルファロメオ・ジュリエッタ・スパイダー・ピニン・ファリーナ"コルサ"
・1956年 ジュリエッタ・スプリント・ヴェローチェ"モルテーニ・スペチアーレ"
・1958年 アルファロメオ・ジュリエッタ・フィッソーレ、1958年アルファロメオ・ジュリエッタTIモレッティ、1960年ジュリエッタTIシオネリ
・1954年 アルファロメオ・ジュリエッタ・スプリント・ヴェローチェ・ベルトーネ・プロトティーポ

編集翻訳:伊東 和彦(Mobi-curators Labo.) Transcreation:Kazuhiko ITO(Mobi-curators Labo.) 原文翻訳:渡辺千香子(CK Transcreations Ltd.) Translation:Chikako WATANABE (CK Transcreations Ltd.) Words:Massimo Delbo Photography:Archivio Zagato-Carrstudio

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