「ちょっとしたレースヒストリーそのもの」│ユニークなボディワークのアルファロメオ

Photography:Thomas Macabelli

これは、高名なイタリアのコレクター、コラード・ロプレストが所有する11台のアルファロメオ・ジュリエッタの話である。1台残らずすべて歴史的価値の高い貴重なコレクションについて、マッシモ・デルボが話を聞いた。今回はジュリエッタ・スプリント・ヴェローチェ"モルテーニ・スペチアーレ"をご紹介。

1956年 ジュリエッタ・スプリント・ヴェローチェ"モルテーニ・スペチアーレ"
モルテーニ・スペシャルは、一般的な白色のジュリエッタ・スプリント・ヴェローチェ(SV)として、1956年6月に製造された。7月に、ミラノのアルファロメオ・ディーラーを通して、最初のオーナーである石油関係の実業家、ジャンマルコ・モラッティの元に渡ると、ひと月後には新オーナーとレースに出走した。白とライトブルーの塗色や、独特のノーズを指定したのもモラッティだ。
 
1958年6月、モラッティはミラノからジェノバへの道中でクラッシュし、SVをミラノ出身の若手レーシングドライバーのアリスティデ・モルテーニに売却した。モルテーニはSVでレースを続けて好成績を収め、さらに改良を加えたが、1959年9月にクラッシュしてしまった。そのときに得た新しいボディが、このSVの最終的な姿となった。1962年以降は何度かオーナーを変え、2015年にロプレストのコレクションに加わって、レストアを受けた。

「この車はちょっとしたレースヒストリーそのものです。アリスティデ・モルテーニは、楽しむことだけが目的だったとの冗談を口にする速いドライバーで、優秀なチューナーでもありました。だからこそ、車の力を最大限に引き出すことができたのでしょう」


11台のアルファロメオ・ジュリエッタ(順次記事追加)
1955年 ジュリエッタ・スパイダー・ベルトーネ
1957年 アルファロメオ・ジュリエッタ・スプリント・スペチアーレ・ベルトーネ・プロトティーポ
1956年 ジュリエッタ・スプリント・ルッソ (エラボラツィオーネ・スペチアーレ・ベルトーネ)
1955年 アルファロメオ・ジュリエッタ・スパイダー・ピニン・ファリーナ・プロトティーポ
1961年 アルファロメオ・ジュリエッタSZ"コーダトロンカ"プロトティーポ
1955年 アルファロメオ・ジュリエッタ・スパイダー・ピニン・ファリーナ"コルサ"
1954年 アルファロメオ・ジュリエッタ・スプリント・ヴェローチェ・ベルトーネ・プロトティーポ
・1956年 ジュリエッタ・スプリント・ヴェローチェ"モルテーニ・スペチアーレ"
・1958年 アルファロメオ・ジュリエッタ・フィッソーレ、1958年アルファロメオ・ジュリエッタTIモレッティ、1960年ジュリエッタTIシオネリ

編集翻訳:伊東和彦(Mobi-curators Labo. ) Transcreation:Kazuhiko ITO (Mobi-curators Labo.)  原文翻訳:木下 恵 Translation:Megumi KINOSHITA Words:Massimo Delbò Photography:Thomas Macabelli Thanks to:Swiss Museum of Transport Lucerne, www.verkehrshaus.ch, Serenella Ar

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