若年層を狙った小型スポーツカーとして開発されたポルシェ│お蔵入りになった理由とは?

未来的なアイデアと技術を体現するものがプロトタイプだ。 中には、時代を先取りしすぎたり、斬新すぎるものもあったが、無駄に終わったことはなかった。しかし、どれだけクリエイティブなスピリットが秘められ、最高峰のエンジニアリング、芸術性を備えていたとしても、すべてが市販化に結びつくというわけではない。今回はポルシェ984 プロトタイプをご紹介。

1980年代、ポルシェは将来の車両コンセプトを模索していた。そこで、スペインの自動車メーカーであるSeatへの開発協力を契機に、1984年から1987年にかけて、ヴァイザッハにあるポルシェ研究開発センターでコンパクトかつ軽量、そしてエアロダイナミクス性に優れた2シーターロードスター、ポルシェ 984の開発に取り組んでいた。

ポルシェ 984は廉価版の小型スポーツカーとして価格帯は4万マルク前後に設定され、若年層を狙ったマーケティング戦略に立脚。開発チームは高い出力の代わりに、優れたエアロダイナミクスと機動性、低い燃料消費量を目標に掲げ、最高出力120ps(88 kW)~150ps(110 kW)を発生する空冷式2リッター 4気筒水平対向エンジンをリアに搭載して、技術的な面でも独自性を強調していく方向で開発を進めていた。

カブリオレに革新的な格納式固定ルーフを試したり、4WDをモータースポーツに応用するといった様々なアイデアが検討されていたものの、1987年のアメリカで発生した株価大暴落により、資金繰りが厳しくなり、ポルシェ 984のプロジェクトはお蔵入りとなったのであった。


期間: 1984年 ~ 1987年
エンジン: 水平対向4気筒
排気量: 1984 cc
最高出力: 135ps(99kW)
車両重量: 880kg
最高速度: 220km/h

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