クラシックカーに明るい視界を│個性を表現するヘッドライト

ヘッドライトは車の目であり、特に重要なのが個性的な表情を持つレンズだ。1950年代のルーカス製7インチ・プレフォーカスバルブの直線的な格子柄や、古いマーシャルの盾のモチーフ、キャレロの独特なパターンなど、どれもクラシックカーを彩る大事な文様である。高級志向のオーナーなら、古いイギリス車にルーカスのPL700を装備しているかもしれない。3本のバーが組み込まれたライトは、いかにも貴族的な趣を醸し出す。
 
ただし、問題がないのは太陽が沈むまでの間だ。すっかり暗くなると、前時代のフィラメントが放つ黄みがかかった柔らかな光では、目の前の状況をつかむのに心もとないと感じることもあるだろう。たとえ交通量が少ない道で、最近流行のHIDランプで網膜が焼かれるような思いをしなかったとしても、前方の視界が良好であれば、現代社会でクラシックカーを運転するストレスも多少は減るというものだ。また、寄る年波に勝てる者はおらず、夜目は徐々に衰えてくる。
 
とはいえ、古い車のライトがすべて役立たずという訳ではない。1960~70年代のルーカス製シールドビームユニットをバカにする人は多いが、4灯で光軸がきちんと調整されていれば、少なくともメインビームはかなりの明るさだ。ただし、古いシールドビームは、レンズパターンが"正しくない品"ですら、なかなか見つからなくなっている。
 
バルブ式のヘッドライトなら、単純にハロゲンランプと交換するのもひとつの手だ。ただし、成功する保証はない。交換したバルブのフィラメントが完全に同じ位置ではない可能性があるからだ。そうなると光軸の鋭さが鈍り、外縁部にグレアを発生することもある。
 
それより、専用のハロゲンユニットと丸ごと交換したほうが得策だ。そうした商品は数多くあり、ぼんやりと控えめな光量の安物から、同じH4タイプのハロゲンバルブでも驚くほど明るいものまである。中でも一番のお勧めがシビエのヘッドライトだ。ワイパックのクアドプティックも優れている。どちらも昔のレンズパターンをかなり正確に再現しており、クラシックカーにぴったりだ。前述した3ポイントのルーカスPL700には、H4バルブ用のレプリカも出ている。
 
光量をさらに上げたいなら、ヘッドライトにリレーを取り付けて、フルに電力を得られるようにすればいい。目の前が一気に明るくなること請け合いだ。

オクタン日本版編集部

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