タイヤ倉庫で42年間忘れ去られていた ?! │見事に蘇ったポルシェ 356Cの物語

Porsche AG

今回の記事の主役であるポルシェ 356Cは、42年間にも渡り忘れ去られたタイヤ倉庫で眠っていた。しかし、ある人物が購入し、2年をかけレストアし、再び美しい姿へと蘇らせたのである。

“バーンファインド”を発見するというのは、車コレクターであれば一度は夢みたことがあるだろう。かつて、フランスでは「世紀の大発見」と呼ばれるバイヨン・コレクションが見つかっていたり、ドイツの納屋にはプレッツェル・ビートルが眠っていた。そして、このポルシェ356Cは高く積まれたタイヤの中に埋もれていたのだそうだ。

この1台を発見したクラウス・マイリッヒは2万ユーロでボロボロの356Cを購入し、その歴史を調べた。2年間のレストアでは、ポルシェに詳しい友人やエキスパートに協力してもらいながら、見事に蘇らせたのである。「最後のオーナーは、エッセンでタイヤディーラーを営んでいた人のようです。しかし、アルコール依存症で運転免許を失い、結局この356Cは7万9000kmを刻んでいた1975年で登録解除されてしまったのです。そして、ガレージにしまい込み、そのままだったというわけです」

67歳のマイリッヒは、「ルール(ドイツの地区)の空冷ボーイ」と自信を称している。彼は機械工の資格を持ち、ドイツのセカンドチャンス教育制度を利用して大学でエンジニアリングを学び、ドイツの機械工学会社「MTE Deutschland」に入社した。そして、退職すると同時に保有していたMTEの株を売却し、クラシックカーへすべての情熱と心を捧げることを決めたのだ。「コンディションの良い911は持っていたのですが、ボロボロの車に再び命を吹き込むことへ興味が湧きました」という。彼は、「30年前からずポルシェウイルスに感染したまま」だそうだ。



356Cはボディがエナメルブルー (6403)、インテリアがレッドという珍しいカラーコンビネーションだった。最初に登録されたのは1964年6月11日のこと。ファーストオーナーは8年間で6万7000km走らせ、1972年に保険ブローカーへ売却した。そして、2年後にはエッセンの人物、車を放置したオーナーへ渡った。タイヤディーラーを営んでいた人物は現在74歳で、ある日突然この車のことを思い出したのだという。そして、ポルシェ911クラブのメンバーへ伝えたところ、何の躊躇もなく現場へ車を走らせ購入を即決したのがマイリッヒであった。

オクタン日本版編集部

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