「神の造形」と呼ばれたアルファロメオの継承│4Cとの重要な共通点

"自動車史上最も美しいスタイリング"、あるいは"神の造形" などと称されることが多く、それを耳にした者も誰ひとりとして否定しない、アルファロメオ・ティーポ33/2ストラダーレ。フランコ・スカリオーネによってデザインされ、1967年から69年にかけて作られたその走る芸術作品のようなスポーツカーは、生産が僅か18台とごく少量ではあったが、紛れもなくアルファロメオにとって初めてとなる市販ロードゴーイング・ミドシップカーだった。
 
2番目となったのは、2013年のジュネーヴショーでデビューを飾った4Cと、そのオープントップ版として2015年に発表された4Cスパイダーである。107年の歴史の中に燦然と輝くティーポ33/2ストラダーレから少なからぬインスパイアを受けたスタイリングデザインは、やはりどこかその面影を偲ばせ、眺めていて飽きることがない。今は昔と違って衝突安全にまつわるレギュレーションなどが車体のサイズを自ずと拡大させたりデザインの自由度を阻害したりすることのある時代だが、アルファロメオのチェントロスティーレは全長3990㎜、全幅1870㎜というミドシップのスポーツカーにしてはコンパクトなサイズの中に綺麗なシルエットを描き出している。
 
こうしたスタイリングの美しさや独特の存在感はアルファロメオの絶対的な矜持であるといえるが、実はティーポ33/2ストラダーレと4C&4Cスパイダーには、もうひとつ見過ごすことのできない共通したキーワードがある。"軽い" ということだ。


 
ティーポ33/2ストラダーレは、元々がレーシングカー由来の車だということもあるが、極太のスチール製チューブを組んだH 型フレームに結合される前後のサブフレームが鍛造マグネシウム合金製、ボディはアルミの叩き出しと、軽量素材を用いた基本構造とされていた。車重は700 ㎏ほどであったという。一方の4C&4Cスパイダーも、F1マシン同様のプリプレグ方式で作られた単体重量わずか65㎏のカーボンモノコックタブにアルミ製サブフレームを組み合わせて骨格を形成し、アウタースキンは低密度SMC 、と車体の基本的なパートを軽量素材で構成。心臓部となる1750ターボユニットも設計を変更してブロックをアルミ製にし、2座のシートにも軽量パッドを用いるなど、軽く仕上げるためにできることを徹底してやっている。

結果、日欧では重量に関する表記の仕方が異なるし、エアコンやオーディオの備えがほぼ100%必要とされる事情があるため、日本仕様の車重はクーペで1050㎏、スパイダーで1060㎏となるが、本国の"素" の仕様では895㎏という、現代の車としては驚異的な軽さを実現している。まさに歴史からの継承、である。

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