ガレージに眠っていたお宝が復活!│『栄光のル・マン』でカメラカーになったポルシェ

Porsche AG

今回の主役であるポルシェ908(シャシーナンバー022)は、1970年公開映画『栄光のル・マン』でカメラカーとして使用された一台である。現在、見事にレストアされ、スティーヴ・マックイーンが実際にレース出場したときと同じコンディションへと蘇っているという。

映画には様々な名車が登場しているが、ほとんどが状態が良いまま保管されている。しかし、ピンクフロイドのドラマー ニック・メイソンが所有しているフェラーリ 512S(#1026)のように、外観が変わっているものも中にはある。デレック・ベルがステアリングを握り撮影に挑んだのだが、撮影中に燃えてしまい、再製造されたのだ。マックイーンがドライブしていた姿が印象的なスレートグレーのポルシェ911Sは新車のように美しいままである。そして、この022は撮影の際に3台のアリフレックス製カメラが搭載されていた。1970年のル・マン24時間を映画用に撮影した車でもある。

そのドライバーを務めていたジョナサン・ウィリアムズは2014年に亡くなっているが、もうひとりのドライバーであるヘルベルト・リンゲは当時のことを昨日のことのように覚えている。「908.022には撮影のため様々なものがくっつけられていました。そんな車を、ル・マンで運転するのは簡単ではなかったですよ。40kgも増加し、バランスとスピード、どちらにも大きく影響していました」リンゲがステアリングを握っていた022は24時間を走り切り、9位でゴールしたといわれているが、リンゲによると規定違反を指摘されて失格となっている。こちらが正しい事実であろう。

映画の撮影は5カ月にも及んだ。他のレーシングカーも撮影用車両として用意され、アリフレックス製の動画カメラを搭載するために支柱が取り付けられたりと、少し残念にも思えるモディファイが施されている。そんな中でこの908.022はレースデビューを果たした。1969年2月1日、2日の「デイトナ24時間」でそのキャリアをスタートさせている。しかし、他のポルシェと同様に626ラップ目の中盤でカムシャフトが破損しリタイアすることに。その後、ポルシェのファクトリーに送られ、オープントップ仕様の908/02へと変更された。アリゾナへと渡り、マックイーンの撮影プロダクションである「ソーラー・プロダクション」に売却された。

オクタン日本版編集部

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