ガレージに眠っていたお宝が復活!│『栄光のル・マン』でカメラカーになったポルシェ

Porsche AG



1970年の2月、3月、“スーパースター” マックイーンはこのポルシェ908/02を駆って4戦に参戦した。そのうち、2戦で勝利を獲得。デビュー戦となったホルトビル・レーストラックでは、歴代コースレコードを2秒も縮めている。マックイーンがレーサーとしても類い希な才能を持っていたことを証明するものだろう。1970年のセブリング12時間では、マックイーンとピーター・レブソンのペアで参戦し、2位でフィニッシュ。このレースで優勝したのは、マリオ・アンドレッティ、イグナツィオ・ギュンティ、ニーノ・ヴァッカレラチームが駆るフェラーリ512Sだった。

こうした戦歴を辿りながら、1970年のル・マン24時間レースではカメラカーとして使用される。そして、その後は様々なレーシングチームやオーナーのもとへ渡り、耐久レースで活躍していた。レースでかなり大きなダメージを負い、廃車寸前になっていたのだが、ある一人の絶大なポルシェ908ファンが購入する。それが、現在のオーナーであるオーストリア人のアウグスト・ドイッチュである。購入したときは、エンジンとギヤボックスもない状態であったという。



彼は当初、この022をシャシーナンバー018の908/02のパーツ取りにするつもりだったそう。しかし、彼はもう一度復活させた。ドイッチュはクルマのオリジナリティについて気にするタイプではなかったため、ロッターシュミット製ボディ、ポルシェの水平対抗6気筒ツインターボエンジン、ポルシェ935のギヤボックスといったもので再生させた。1980〜1988年までドイツやオーストリアのローカルレースを中心に走り続け、022はガレージにしまい込まれ10年間もの眠りについた。そして、1998年、ヒストリックレースイベントの「AvD オールドタイマー・グランプリ」の設立者であるフーベルトゥス・グラフ・ドンホフが、ドイッチュにある言葉をかけた。「あの伝説の『908/02』をニュルブルクリンクで走らせないか?」と。しかし、同時に彼はドイッチュに、「オリジナルの状態にレストアしてほしい」という条件をつきつけた。

そして、レストアには2年を費やし、2000年5月にヒストリック・ヨーロピアン・スポーツプロトタイプレースのグリッドに並んだ。



022には映画に登場した輝かしいキャリアもしっかりと示されている。ドイッチュの名前の下には"STEVE McQUEEN"の名が刻まれている。

オクタン日本版編集部

無料メールマガジン登録   人気の記事や編集部おすすめ記事を配信         
登録することで、会員規約に同意したものとみなされます。

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

RANKING人気の記事