初の国際ラリー総合優勝を獲得!魅力的なMGBワークスカー

Photography :Tom Wood

MGBは高い走行性能を誇っていながらなかなか陽の目を見なかった名車だ。Octane編集部がMGレース部門全盛期における最高の老兵4台を紹介する。
<1966年 ワークス「マラソン・デラ・ルート」ウィナー編>

私の独断では、最も魅力的なワークスMGBは、1966年のマラソン・デラ・ルートで総合優勝を果たしたこの車である。名目上はニュルブルクリンクの旧コースを使ったラリーだが、実際には84時間に及ぶ耐久レースである。そのレースのオープニングラップで、2台のワークスMGBはどちらも新しい舗装の上に載ったグラベルに足を取られてコースアウトした。暗闇の中で何とかコースに戻り、一旦ピットインしてデン・グリーン率いるBMCのメカニックに壊れたライトを修理してもらった。フェラーリが優勝しそうに思われたが、激しい風雨の中でクラッシュしてしまう。



その後はワークスMGBとアラン・マン・レーシングのワークス・フォード・ロータス・コーティナとの長い一騎打ちとなる。しかもコーティナのドライバーのひとりはあのヴィック・エルフォードだったが、レーシングBはロータス・コーティナ相手に一歩も引かなかった。レース半ばを少し過ぎた頃、エルフォードは2台のMGの間に割って入ってきたが、2台目のMGBには、ライバルにできる限りのプレッシャーをかけるべくペースアップの指示が出された。その結果、エルフォードのエンジンが不調となり、GRX307DはMGとして初の国際ラリーの総合優勝を勝ち取ることになった。アンドリュー・ヘッジスとジュリアン・ベルナーブのふたりのドライバーは5620マイル(9000km余り)を走破したという。
 
この車を絶賛する理由はこれだけではない。1966年にはティモ・マキネン/ジョン・ローズ組がタルガ・フローリオでクラス優勝、またヘッジス/ベルナーブがスパ1000kmでGTカテゴリー優勝など、このGRX307Dは最高の成績を残したMGBなのである。さらにコレクターから見て最高の点は、この車が一度もレストアされていないということだ。

ジュリアン・ベルナーブが一時所有していたが、1971年にBMCの幹部の口利きで著名なMGファンでコレクターであるシド・ビアーに売却された。シドが亡くなった後も、彼の息子であるマルコムによって完全オリジナル状態に保たれ、今もビアー・オブ・ホートン・コレクションの宝石であり続けている。

編集翻訳:高平高輝 Transcreation: Koki TAKAHIRA 原文翻訳:木下 恵 Translation :Megumi KINOSHITA Words :Tony Dron

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