歴史に残る瞬間を蘇らせる│カーレースをテーマにした貴重なネガをレストア

MAD Gallery



『これがカーレース人生-1954年 ル・マン(原題:Such is Life in Racing– Le Mans 1954)』は、イタリアのイノセンテ・ビアッジョ伯とドミニカ共和国出身のプレイボーイ、ポルフィリオ・ルビロサが、フェラーリ375 MM No.18(シャシー 0380)で参戦した際の不運な出来事を捉えたもの。この車は、北米レーシングチームの創設者で当時のフェラーリのインポーターとしての先駆者ルイジ・キネッティから託されたものであった。


Such is Life in Racing– Le Mans(1954)

ル・マン24時間レースで有名なポイントであるミュルサンヌのコーナーに差し掛かると、フェラーリはスピードアップ。ところがコントロール不能となり、スピンしながら砂地のバンクに突入してしまう。フェラーリを砂地から出そうと、ビアッジョはライトグレーのアルパカ製スーツ、シルクのシャツ、そして黒い蝶ネクタイ姿で砂を掘り起こし、コースに戻ろうとしたという。彼は一時間ほど懸命に努力を続けフェラーリを掘り起こそうとしたが、最後には諦めた。その後、ズボンと靴のホコリを落とし、再び帽子を被り、タバコに火をつけた。ルネ・パリは適切な場所に適切なタイミングでいたことからレース史上でも象徴的なこの瞬間を捉えることができたのだ。

コース上でもコース外でも繰り広げられるのがカーレースのストーリー。『モン・ヴォントゥ 1925年(原題:Mont Ventoux 1925)』は1925年の南フランスでの一枚だが、これを撮影した写真家の名前は分かっていない。


Mont Ventoux(1925)

Delage DFが坂道を上る瞬間が、リンホフ・マスターテヒニカのビューカメラで完璧に切りれて取られており、写真は現在では、完璧な形で修復されている。またカーレースは苦痛なしでは語れないもの。それをまさしく表現しているのが、『これがカーレース人生-1951年 ランス(原題:Such is Life in Racing - Reims 1951)』。ドライバー、コンサルボ・サネージが機械的故障をおこしたアルファロメオ159 no. 6を全力で押す懸命な姿が描写されている。

 
Such is Life in Racing - Reims(1951)


『ビハインド・ザ・シーン-1963年 ル・マン(原題:Behind the Scenes - Le Mans 1963)』が物語っているように、レースに関わる究極なシーンは常にコース上で見られるわけではない。これはポルシェチームが1963年のル・マン24時間レースに向けて、極秘の準備に取り組む様子を撮影したものだ。


Behind the Scenes - Le Mans(1963)

「モータースポーツでは機械上のレベルが問われるものですが、実際のストーリーは人間関係で出来上がっています。この冒険の舞台裏には多くの男性や女性が関わっているのです」とベルクは話した。 

オクタン日本版編集部

無料メールマガジン登録   人気の記事や編集部おすすめ記事を配信         
登録することで、会員規約に同意したものとみなされます。

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

RANKING人気の記事