「100%フェミニン」なレーシングチーム│RICHARD MILLE RACING TEAMが目指すもの


 
世界的に見てモータースポーツ界は男性社会であり、女性が活躍する機会がなかなか得られなかったという現状がある。ドライバーに注目してみても「モータースポーツは男女等しく戦えるスポーツであり、ハイレベルな戦いが可能である」と経験者であるミシェル・ムートン。FIA WIMはハイレベルな女性ドライバーが世界のトップカテゴリーで活躍できるように働きかけるだけでなく、若手ドライバーの育成にも力を入れている。実はヤングタレント・アカデミーという育成活動にリシャール・ミルは発足時より支援を行っているのだ。昨年はセ・パンで開催されたアジアン・ル・マンに初めて女性ドライバーだけでの参戦に挑み、無事、完走。こちらもサポートを行っていた。
 
このように“リシャール・ミル×女性×モータースポーツ”が築いてきた関係によって、今回のプロジェクトがある。ELMSフル参戦という新たなフェーズ=舞台に女性たちがチャレンジする環境をリシャール・ミルがいよいよ本格的に整えてくれたといえるだろう。
 
リシャール・ミル レーシング チームでステアリングを握るのはキャサリン・レッグ、タチアナ・カルデロン、ソフィア・フローシュの3名。彼女たちはFIA WIMによる厳選な選考とサポートのもと、この2年間、ELMSに参戦することになる。ちなみにその他の女性クルーたちについての詳細は発表されていない。参戦クラスはLMP2というカーボンボディを纏ったシングルシーター。600ps というハイパワーのギブソン製V8 4.2リッターエンジンを6段シーケンシャルトランスミッションで操る。このシリーズは4時間の耐久レースなのだが、それらに加え、ル・マン24時間耐久レースが含まれる。このスペックを見ただけで、4時間はもちろんル・マンではサルト・サーキットを24時間、昼夜を問わずドライブするなんて、想像しただけで過酷そう。思わず「男性だって大変だろうに…」と言いたくなるが、モータースポーツが男女対等なスポーツであることを彼女たちが示す機会になるだろう。これは女性による今後女性たちが活躍するための大きなチャレンジなのである。
 
2020年のELMSシリーズは新型コロナウイルスの影響で7月からスタートする。ル・マン24時間耐久レースは9月に開催が変更された。が、実はもともとル・マンが開催される予定であった6月13~14日にヴァーチャル ル・マン24時間耐久レースが開催され、リシャール・ミル・レーシングもリアルレースと同じ体制でLMP2クラスに参戦。チームにとっては特別なレース スタートとなった。
 
2020-2021年、彼女たちがレーストラックで挑む4時間や24時間がモータースポーツ界に新たな歴史を刻むことになるだろう。狙うのはもちろんポディウムの一番高い場所である。


RICHARD MILLE RACING TEAM

様々なレース経験を持つチームのキャプテン キャサリン・レッグ Katherine Legge

イギリス出身のキャサリン・レッグ(39歳)は20年以上にわたりハイレベルなレースにチャレンジしてきた、現代の女性ドライバーとしては華々しいキャリアを持つ代表的な存在。最もパワフルなマシン経験はF1やDTM。ジャガーE ペイスのシリーズで男性を抑え優勝した経験も持つ。昨年はALMSのLM3クラスにFIA WIM選抜ドライバーとして参戦。


日本での活躍にも注目いま、最もF1に近い女性 タチアナ・カルデロン Tatiana Calderon

「ル・マン出場が夢だった」というコロンビア出身のタチアナ・カルデロン(26歳)。欧米でフォーミュラレースの経験を積み、昨年は女性初のF2参戦、アルファロメオF1チームの開発ドライバーも務める。今年はリシャール・ミル レーシングチームからELMSに参戦をするほか、日本でも女性初のスーパーフォーミュラドライバーとしてマシンを駆る。


弱冠18歳のドライバーは将来を期待される女性のひとり ソフィア・フローシュ Sophia Floersch

ソフィア・フローシュ(18歳)はドイツ出身の最若手ドライバー。5歳でカートを始め、F4、F3のヨーロッパ選手権に参戦するなど順調にステップアップ。2018年のマカオGPで270km/hを超える速度で大クラッシュ、奇跡的な生還を遂げ、2020年もFIA F3選手権に出場する。FIA WIMの15名の候補から選抜された彼女の活躍にも注目したい。

文:飯田裕子 写真:リシャール・ミル Words:Yuko IIDA Images:Richard Mille

RECOMMENDEDおすすめの記事