「車両の骨格構造」を造形していく│医学と建築を活かして作られる名車のアート

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さらにデュフィロは、伝説の名車、フェラーリ 250 GTOをモデルとして全く異なるスタイルの作品を制作し、幅広い表現を展開。このオブジェでは、樹脂を用いて車体を手作業で作り上げ、自動車用塗料で仕上げることで、マシンの空気力学的デザインの魅力を際立たせている。この作品は75cm x 35cmの磨き上げられたアルミニウム製の台座に静置されているが、その流線型フォルムとブラックカラーの滑らかな表面からは、スピードにかけるフェラーリの情熱が強く感じられる。



彼の豊かな創造性は、モータースポーツ界のスーパースター、ジャガー Eタイプをモチーフにした独特なスタイルの作品にも発揮されている。この立体造形作品の構成にあたってデュフィロは、2250本のステンレススティール製棒材を手作業で制作。棒材は直径がわずか2mmで、このスーパーカーの洗練された美しいデザインが際立つように着色されている。これらの棒材は、一本一本細心の注意を払いながらローズウッド材の台に効果的に配置されており、作品を鑑賞する人は、軽やかに演出された名車の姿を楽しむことができるだろう。 台座の回転時、あるいは鑑賞者が作品の前を通りかかる際には、独特の構成により、まるで車が動いているかのような感覚がもたらされる。ジャガーを高さ24cm、長さ78.5cmに縮尺したこの作品は、車庫に入れておくよりも家の中に飾るほうが、その美しさが引き立つだろう。

デュフィロは、建築と医学を学んだ経歴からコンセプト面での基礎を養い、それをもとに斬新なアート作品を制作している。医学を専攻していた時に解剖学、そして皮膚に覆い隠された複雑な人体構造に関心を抱き、さらに建築学の教育を受けたことで技術的なスキルを身に付け、美術史の知識や新しい発想を得たのだ。デュフィロは次のように語る。「この2つの分野を学んだことで、構造に関する新しいアプローチを開拓することができました。それは例えば、フレーム構造(骨格)を表面という「皮膚」で覆って作品の魅力を強化し、オブジェの構造が意図する効果が高まるようにデザインと動的作用をうまく組み合わせる手法です」

オクタン日本版編集部

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