「車両の骨格構造」を造形していく│医学と建築を活かして作られる名車のアート

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フランス北部のケノワ=シュル=ドゥールという町に輸送用コンテナでできたアトリエを構えるデュフィロは、そこで全ての制作を行ない、見事な作品を手作業で作り上げている。このアトリエは、少しずつ彼のアート活動の拠点として整えられた場所で、制作に必要なあらゆる機械装置が揃っている。例えば、研磨キャビンと工業用ポリッシャーを備えた各種ベルト研磨機、塗装ブース、手動旋盤、工業用手動フライス盤、そして想像できる限りのあらゆる種類の溶接機といった機械だ。

地域リソースを活用する主義のデュフィロは、金属、木材、樹脂、塗料などの材料をアトリエから半径30km以内にある業者より購入し、制作プロジェクトに使用している。下請けに出す作業は金属プレートのレーザー切断のみで、他の全ての工程は才能豊かな彼自身の手で行なわれている。デュフィロは語る。「私が最も多く使用している材料は金属です。木材と違って、自由に加えたり取り除いたりできる素材ですから。それに複合材料とは異なり、金属には不変性が高いという長所があります」 彼はさらに続ける。「とはいえ木材は、最も楽しく作業ができる素材で、作品に自然から生まれる面白い色合いと模様が加わります。実際、現在も自動車に木材が使われていますし」

 

デュフィロによれば、それぞれのプロジェクトにおいて、その作品特有の制作上の課題が存在するため、制作に要する時間はモデルによって全く異なるらしい。例えば樹脂で自動車を造形した作品では、フェラーリ 250 GTOをはじめとするモデルのダイナミックな感じが見事に表現されているが、空気力学的な車両デザインを強調するためにデュフィロ独自の技法を要する。木材を用いた作品は制作時間が最も長いが、これは骨の折れる困難な手作業を要することから、他の作品の2~3倍の時間がかかるためだ。デュフィロは次のように主張する。「仕上げのレベルは、必ずしもアートにおける決定的な要因ではありませんが、私は仕上げをとても重視しています」

ちなみに、彼が車を好きになったきっかけについてはこのように話す。「私の家族には自動車愛好家が沢山いました。その筆頭が祖父、それからブガッティ グランプリを所有していた大おじで、彼らが車への情熱を私の父に伝えたんです。そして私は、自動車コレクターになった父から、ごく自然に同じ情熱を受け継いだというわけです」

オクタン日本版編集部

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