「車両の骨格構造」を造形していく│医学と建築を活かして作られる名車のアート

mad gallery

才能豊かなフランス出身の造形作家、アントワーヌ・デュフィロが自動車をテーマにして制作した「シーケンシャル」。彼は建築と医学を学んだ後、アートと自動車に情熱を見い出し、立体造形の分野で新たなキャリアに意欲を注ぐことになる。

コレクションのモデルに採用されたのは、フェラーリ 250 GTOやブガッティ アトランティック、メルセデス W196 ストリームライナーといったファン垂涎の8台の名車で、これらのマシンが縮尺され、印象的なアート作品に造形されている。

ブガッティ タイプ57S アトランティックとアストンマーティン DB5をモチーフにした作品には、デュフィロが得意とするテクニックがよく表れている。すなわちこれらの作品では、モデルとなるマシンの流線型の車体を、連続するいくつもの層に分解し、それらの層を用いて現代的なスタイルで車両の骨格構造を造形しながら、自動車の輪郭を表現しているのだ。デュフィロは次のように説明している。「このように素材を連続して配置した作品を複数の視点から見つめると、鑑賞者の目に動的な効果がもたらされ、静止したオブジェが動いているような印象を与えます。対称形と非対称形を交互に配置すると、この動的効果がさらに増して、オブジェの動きが速くなったり遅くなったりするように感じられるでしょう」


  
ブガッティ タイプ57S アトランティックは1934年3月から1940年5月にかけて販売された車で、おそらくブガッティ社の歴史の中で最も重要なモデルのひとつだろう。デュフィロは、このアイコニックな名車のセクシーなシルエットを構築するために、ポリッシュ仕上げを施したステンレススティール製プレートとブロンズの車輪を使用。制作したオブジェは、磨き上げられたアルミニウム製の台座に配置されている。

デュフィロ特有のアート技法を示すもう一つの例は、成形したステンレススティール製プレートを視覚効果が生まれるように層状に配置し、アストンマーティン DB5を表現した作品だ。1963年から1965年にかけて製造されたこのモデルは、映画『007 ゴールドフィンガー』で初登場したジェームズ・ボンドの愛用車「ボンドカー」として語られることが多い。この壁掛け型の作品では、アストンマーティンの車体前部をイメージしたオブジェが、ポリッシュ仕上げのステンレススティール製の台を通り抜けているような印象を与える。



メルセデス W196 ストリームライナー、アウトウニオン・アーブス、ポルシェ 356をモチーフにした作品もある。また、同様のスタイルで壁掛け型の造形として、アストンマーティン DB4 GT ザガートをイメージした作品も。

オクタン日本版編集部

無料メールマガジン登録   人気の記事や編集部おすすめ記事を配信         
登録することで、会員規約に同意したものとみなされます。

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

RANKING人気の記事