12台だけの特別な2シーター│バカラルに見るベントレーの未来

Bentley motors

2020年3月3日、ベントレーはビスポーク部門マリナーによる特別なモデル「バカラル」をオンラインで発表した。特別な顧客だけが手にすることができるバカラルは、なぜ2シーターのオープンモデルとされたのだろうか?そこには、ベントレーが描く未来のデザインが見えた。

バカラルはわずか12台だけが生産される特別なベントレーである。価格は未公表ながら約150万ポンド(約2億円)と推測される。ただし、たとえあなたがどれほど裕福でも、今からバカラルをオーダーすることはできない。なぜなら、すでに完売しているからだ。
 
この極めて貴重な2シーター・バルケッタを生産するのは、ベントレー傘下のコーチビルダー、マリナー。これまで、ベントレーのカタログモデルのために特別な装備品をデザイン・制作するのがその役割と思われてきたマリナーだが、先ごろベントレーはマリナーの機能強化を実施。その主要な役割は"クラシック""コレクション""コーチビルディング"の3つに集約できるという。

このうちの"クラシック"は、歴史的な名作を現代に甦らせるプログラムで、コンティニュエーションの名で知られるもの。ベントレーは先ごろ1929年型のチーム・ブロワーを12台"再生産"すると発表したが、これがこのクラシック部門の代表的な役割となる。彼らはすでに1939年製のベントレー・コーニッシュも再現しており、今後もコンティニュエーション・モデルは継続的に登場することになるようだ。
 
もうひとつの"コレクション"は、これも先ごろ発表されたコンチネンタルGT マリナーのようにベントレーのカタログ・モデルをさらにカスタマイズするプログラムのこと。これまでどおりカタログ・モデルのパーソナライゼーションもマリナーが担っていくことになる。


バカラルは、他のベントレーモデルとボディパネルを一切共有していない。唯一、エクステリアパーツにおいて、ドアハンドルのみをコンチネンタル GTと共有している。彫刻のような美しさをもつEXP 100 GT からデザインDNAを受け継いでいるのだ。
 
そして3番目の"コーチビルディング"が、今回のバカラルのような少量生産モデルの開発と生産である。これまでもマリナーは、たとえばエリザベス女王のリムジン(ステイト・リムジン。世界で2台のみが存在)のように、1台もしくは2台程度の車両を生産する能力はあったが、12台といったまとまった台数を生産する力はなかった。それが今回の機能強化によって実現できるようになったのである。

バカラルでもっとも特徴的なのは、コンバーチブルではなくルーフ機能が完全に取り払われたオープンモデルとされたことだろう。ルーフを持たないバルケッタにした理由を、ベントレーのチーフデザイナーであるステファン・ジーラフに語ってもらった。

文:大谷達也 写真:ベントレーモーターズ Words:Tatsuya OTANI Photography:Bentley Motors

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